旧避難区域のバナナ初開花 福島、目指せ東北産の出荷
東京電力福島第1原子力発電所事故で避難区域だった福島県広野町で、町に人を呼び込むための新たな観光資源として栽培を始めたバナナが4日までに初めて花を咲かせた。約80日後に収穫できる見通し。
熱帯アジア原産のバナナを東北で栽培するのは難しい。栽培に取り組んでいる広野町振興公社の中神洋二さん(55)は「東北産のバナナとして出荷し、復興に取り組む広野町に興味を持ってもらいたい」と意気込んでいる。
昨年9月に広野町の二ツ沼総合公園の温室に植えた150本の苗のうちの一つが開花。50センチほどの大きさの苞葉(ほうよう)と呼ばれる葉っぱの一種の集まりがあり、苞葉の1枚がめくれ上がった内側に、バナナの果実部分が姿を現し、実の先端に白い花をつけた。
栽培しているのは高級バナナの一種のグロス・ミシェルで、寒冷地での栽培を目指して品種改良された苗を同公社が購入した。
第1原発から20~30キロ圏内の広野町は原発事故後の2011年3月に独自に全町民に避難を指示。翌12年3月末に解除した。〔共同〕