習近平氏を縛る天安門の教訓と、米中激突の危うい関係
編集委員 中沢克二
1989年5月から6月にかけて中国・北京の天安門広場は、民主化や汚職追放を訴える学生らで埋め尽くされていた。彼らは共産党の指導層にハンガーストライキなどを通じて「我々の愛国的な行動を認めよ」と求めただけであり、もともと味方のはずの人民解放軍が自分たちに銃を向けて発砲するなどとは思いもよらなかった。
6月4日、多くの学生が武力弾圧で死傷した凄惨な天安門事件が起きた際、現在の国家主席、習近平(シー・...
経済や安全保障面で米国の一極支配を打破しようとする中国の習近平政権の中枢で何が起きているのか。習国家主席による腐敗撲滅政策の狙いなどを的確に報じ、「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞した中沢克二・日本経済新聞編集委員(元中国総局長)が深掘りする。