米「責任転嫁する中国に失望」 協議頓挫で反論声明
【ワシントン=鳳山太成】米通商代表部(USTR)と米財務省は3日、対米貿易協議を巡る中国政府の最近の主張に対し「米中貿易交渉の性質と歴史を誤って伝え、責任のなすり合いに持ち込もうとしていることに失望した」とする共同声明を発表した。「(協議の頓挫は)完全に米国の責任だ」とした2日の中国商務省の米中協議に関する「白書」に反論した。
共同声明は、トランプ米政権が対中制裁関税の拡大を決めた理由を「(貿易協議で)最後の重要な問題を片付けようとしたときに、中国が以前合意した項目で後戻りした」からだ、と指摘した。
米中協議で残った争点として、中国が合意事項を確実に守るようにするための仕組みづくりをあげた。協議で中国は関税を使った罰則規定などを主権の侵害だと抵抗してきたが、声明は「中国の主権を脅かす内容では全くない。貿易協定としてはありふれた事柄で、(米国の対中)貿易赤字という構造問題に対処するには必要だ」と訴えた。
中国側が「米国の言動は前後で矛盾し、誠意がない」と断言した点についても、米側の声明は「米国の姿勢は一貫している」と異を唱えた。
トランプ大統領は米中協議で中国が約束を破ったと主張し、5月10日に2千億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する制裁関税を従来の10%から25%に引き上げた。中国政府も強硬姿勢に転じ、1日には対米報復関税を拡大した。トランプ氏は6月下旬に予定される20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談する意向を示したが、米中間では次回の閣僚協議の日程もまだ決まっていない。
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