天安門事件から30年 北京市内は厳戒態勢
【北京=羽田野主】中国で民主化を求める若者らを当局が武力で鎮圧した1989年の天安門事件から4日で30年となった。当局は多数の監視カメラを設置し、北京市中心部の天安門広場や事件の発生地にふだんより多くの警察官らを配置した。習近平(シー・ジンピン)指導部は、この節目の時期に国内で民主化を求める声が高まる事態をおそれ、例年を上回る厳戒態勢を敷いている。
4日午前、天安門広場には複数のパトカーや警察車両が乗り入れた。「公安」と書かれた大型バスには大勢の当局者が待機していた。周辺では交通規制で渋滞が起きており、警官が通行人を呼び止めて質問する姿もみられた。
天安門広場に、観光客は身分証の提示と荷物検査を済ませれば入ることができるが、記者は入り口で拒絶されていた。
中国国内で事件を巡る報道はタブー扱い。事件を公の場で語ることも事実上できない。4日付の主要紙でも一切触れていない。
3日の中国外務省の記者会見では天安門事件を巡り複数の記者が質問した。耿爽副報道局長は「80年代末に発生した政治的な騒ぎだ」などと答えたが、外務省ホームページで記者会見の内容を紹介する欄にやりとりは載っていない。