米国務長官「中国は異論認めず」、天安門30年で声明
【ワシントン=永沢毅】ポンペオ米国務長官は3日、中国が学生らの民主化運動を鎮圧した天安門事件から4日で30年となるのにあわせて発表した声明で「中国の1党体制は異論を認めず、その利益にかなうとみればいつでも人権を侵害する」と中国共産党を痛烈に批判した。「中国を国際システムに組み入れればより開かれた寛容な社会になると期待していたが、その希望は打ち砕かれた」とも表明した。
2018年の声明では中国に人権尊重を促すにとどめたが、トランプ政権の強硬な対中姿勢を反映して今回は批判のトーンを強めたのが特徴だ。
これに対し、在米中国大使館は4日、ポンペオ氏の声明が「偏見と傲慢によるものだ」と批判する声明を出した。「中国への内政干渉」であり「中国人への侮辱」だとも非難したうえで「強烈な不満と断固とした反対を表明する」と主張した。
ポンペオ氏は声明で「共産党は強力な監視システムを構築している」として、中国が新疆ウイグル自治区でウイグル族を不当に拘束している現状などにも言及した。一般の中国人でも意見表明しただけで「罰され、投獄され、拷問を受けることすらある」と指摘した。
米CNBCはペンス副大統領が天安門事件から30年にあわせ、中国の人権弾圧を批判する演説を6月中旬に予定していると報じている。米中貿易戦争が激しさを増す中で、両国の対立に拍車がかかりそうだ。