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「真珠の街」神戸 でも養殖ゼロ、珠玉の加工技術連なる

とことん調査隊

(更新)
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神戸市は「真珠の街」と呼ばれる。神戸港の近くに登録有形文化財の日本真珠会館があり、中には「神戸パールミュージアム」がある。しかし市内の養殖生産額はゼロで不思議な感じだ。連綿と磨かれてきた歴史に光を当てる。

JR三ノ宮駅から北に徒歩10分、観光地の異人館の並ぶ通りの南にパールストリート(真珠通り)がある。神戸市は「1977年、道路名とは別に愛称を決めた」と話す。

周辺には真珠関連の企業が軒を連ねるが、なぜ神戸の山側に集まったのか。日本真珠輸出組合(神戸市)の内海芳宏専務理事は「真珠を売るため、神戸沖に外国船が来たか見渡せるから」と解説する。

日本の養殖は1893年の半円真珠の成功に始まる。真円の技術も確立し、商業生産が始まった。生産地である三重県や愛媛県から神戸港を経由し、欧州向けに輸出。今やオーストラリアなどから輸入した真珠加工も神戸が担う。

一大集積地にさせたのは雑居地の存在。初代兵庫県知事で運上所長官(現在の税関長)も務めた伊藤博文の策という。「外国人と日本人に壁がない。直接お金持ちの外国人と商売でき、所得を上げられた」(内海専務理事)

神戸の自然も好影響した。「神戸の安定した採光条件が真珠の穴あけや連組み加工に適していたようだ」(兵庫県工業振興課)。六甲山が太陽光を柔らかく反射して、職人の選定精度を高めたという。

神戸パールミュージアムを訪ねた。展示資料に「神戸の真珠加工の草分け」として、藤堂安家の記述がある。藤堂氏はサンゴのシミ抜きに使う消毒液を何通りも実験。1920年代に真珠のシミ消し法を発見し、染色法も開発した。

各地の真珠取引事業者も神戸に出店、加工技術の発展を支えたという。藤堂氏は真珠加工の特許を取らなかった。「みんなが栄えないかん」と話した逸話が伝わる。

戦中は真珠輸出ができなかったが、戦後に米軍将兵が帰国土産で持ち帰ったことなどで再び輸出ブームに沸いた。54年には昭和天皇と香淳皇后が真珠会館をご訪問。真珠産業復興の象徴となった。真珠ネックレスなど完成品前の加工を終えた「半製品」の世界取引シェアは日本が約7割だ。ほぼ神戸で加工され技術蓄積が評価されている。

こうした歴史は地場の服飾文化に影響した。ファッションに詳しい神戸芸術工科大学の見寺貞子教授は「西洋文化をいち早く取り入れ、真珠を使った新たなファッション文化にも貢献した」とみる。市内には200社超の真珠関連企業のほか、ワールドなどアパレル企業の本社も集まる。

ただ海外の流行に左右され真珠企業が打撃を受けることも。大月真珠(神戸市)の大月京一社長は「60~70年代、欧米の真珠需要が一巡し真珠不況になった」と話す。市内企業などは国内向け宝飾品の需要喚起に努め、売り上げ回復につなげた過去がある。

バブル以降は国内需要が伸び悩み、95年には阪神大震災が発生。復興目的で97年から神戸国際宝飾展が開かれ、今年は23回目だ。最近は「習近平(シー・ジンピン)国家主席の妻の彭麗媛氏が真珠をよく身に着け、中国でも人気になった」(内海専務理事)という。神戸展示会では海外の来場者が年々増え続ける。

「中国ブームに頼らない」と欧米を見据える動きも。水木真珠(神戸市)の尾川議顕社長らが呼びかけ、神戸真珠輸出促進協議会(同)を2017年に設立。20年度に2000万円の輸出目標を掲げるなど、神戸の真珠企業の進取の気性は衰えを知らない。

真珠は取引単位「匁(もんめ)」が世界で通じ、環境保全に役立つ「エコシンボル」とも呼ばれる。令和の新時代に入っても、珠玉の伝統産業の輝きは変わらない。(沖永翔也)

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