ドラッグストア再編、なぜココカラ? 3つのポイント
ドラッグストア大手のココカラファインがスギホールディングス(HD)と経営統合の検討を始めました(「スギとマツキヨ、ココカラ争奪 ドラッグストア首位かけ」参照)。ただ、4月に発表したマツモトキヨシHDとの資本業務提携も並行して協議を続けます。どちらと連合を組んだ場合でも、売上高・店舗数ともに業界首位に躍り出ます。スギHDとマツキヨHDに再編のパートナーとして選ばれたココカラはなぜ人気なのでしょうか。ポイントを整理します。
(1)東阪にバランス良く都市型店
全国に1354店舗を展開するココカラファインは、店舗の半数を関東と関西に集中させています。特に東京と大阪の駅前立地の都市型の店舗網が厚く、郊外型の店が中心のスギHDは互いに補完しながら出店戦略が立てられると見ています。一方、都市型店中心のマツキヨHDは5割以上の店が関東にあります。関西は1割未満で地域の補完ができると見込みます。訪日外国人(インバウンド)の多い関西を強化する狙いもありそうです。
(2)独自の調剤サービス
高齢化などを背景に薬剤師による販売が義務付けられた処方薬の需要は増加を続けています。ドラッグストア各社も収益源として調剤併設店を拡大しています。ココカラは2018年にドラッグストア大手で初めて、薬剤師がテレビ電話で薬を説明する「遠隔服薬指導」に参入しました。ココカラの調剤薬局事業の規模は小さいですが、IT(情報技術)を取り入れたサービス拡充などを進めており、同業他社にないノウハウを蓄積しています。
(3)提携に積極的、創業家の色薄く
ココカラは関西地盤のセガミメディクスと関東のセイジョーが経営統合して08年に発足し、傘下の6子会社を統合する形で13年にできた会社です。ドラッグストア市場で都市部の新規出店に飽和感が出てきているなか、ココカラは18年には食品スーパーなどを展開するバローHD、今年5月にはエイチ・ツー・オーリテイリングと提携するなど、他社との連携に積極的な企業として知られています。スギHDやマツキヨHDのようにドラッグストア業界は創業家が経営を主導している企業が目立ちます。ココカラは創業家色は薄くなっており、協力を打診しやすい面があるかもしれません。