タイのデジタル経済社会相「5G、導入急がず」
タイのピチェート・デジタル経済社会相は31日、東京都内で日本経済新聞のインタビューに応じ、次世代通信規格「5G」の商用化について「先頭集団に入ることは重要ではない」と導入を急がない考えを示した。タイ政府はこれまでシンガポールなどと同時期の2020年の商用化を主張してきたが、5G向けの投資拡大に慎重なタイの通信各社に一定の理解を示した格好だ。
東南アジアではシンガポールやフィリピン、ベトナムなどが5Gの商用化を急いでいる。ピチェート氏は「タイでは4G通信の普及もまだ十分でない」と述べ、通信網の拡充を「一歩ずつ前進させなければならない」と強調した。
米国が警戒する中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)製の通信機器については「タイはどの国にも開かれており友好的だ。我々のニーズに合うパートナーと組む」とし、特定の企業を排除しない考えを示した。
さらに「安全面のリスクはすべての製造元に等しくある」とし、ファーウェイのみを規制する米国の方針には追随しない姿勢を示した。タイは中部チョンブリ県に5G通信の実証実験のための施設を設けている。「実際に危険性があるかどうかは(ファーウェイやノキア、エリクソンなど)すべての製造元が参加している実証実験の中で明らかになるだろう」と話し、「まずはテストをすることが重要だ」と語った。(アジア総局 岸本まりみ)
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