フィリピン大統領、南シナ海「一触即発」 アジアの未来
フィリピンのドゥテルテ大統領は31日、国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)で講演し、中国が領有権を主張し、軍事拠点化を進める南シナ海については「一触即発の状態で放置されている」と強い不満を表明した。米中貿易戦争については「世界経済の下押し圧力になり、誰の利益にもならない」と懸念を示した。
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フィリピンは南シナ海の領有権を巡り中国と対立している。ドゥテルテ氏は「ある国が海全体を自分達のものだと主張するのは正しいことなのか」と、南シナ海の領有権を主張する中国に対して不信感をあらわにした。「北京を訪れる機会があれば、習近平(シー・ジンピン)国家主席とまた話をしたい」とも述べた。
一方で、「我々は中国の友好国だ。フィリピンは中国だけではなく、どこの国とも戦争をする余裕はない」として、正面対決は避ける姿勢を示した。
米中貿易戦争については「不確実性と緊張が増している。長引く戦争になりつつあり、貿易や投資に問題が出てきている」として、早期の解決策が必要だと訴えた。「一国主義、保護主義、移民排斥の傾向が世界の一部で醜い頭をもたげ、世界の基盤を揺るがしている」と指摘した。
世界の課題としては「テロ、気候変動、国境を越えた犯罪」が新たなリスクに加わったと述べた。特に気候変動については「すべての国が脆弱性を平等に負担しているわけではない。温暖化の責任が少ないフィリピンのような途上国がもっとも恐ろしい影響を受けている」と、国際社会が一丸となって対策に取り組むべきだと強調した。
インフラ整備などに関して、フィリピンには投資が必要だとして「投資は日本でも中国でも歓迎する」と期待した。インフラ整備で「日本は常に頼りになるパートナーだ」と評価した。
日本経済新聞社は5月23、24日の両日、「揺れる世界とアジアのリーダーシップ」をテーマに日経フォーラム第29回「アジアの未来」を開催します。会場参加に加え、オンラインでの聴講も可能です。
第29回 開催概要