ラオスのトンルン首相 「対中債務のわな、懸念せず」
ラオスのトンルン首相は31日、東京都内で日本経済新聞のインタビューに応じ、中国の一帯一路構想下で建設中の中国―ラオス高速鉄道について「ラオス経済に巨大な恩恵をもたらす」と話した。同高速鉄道の建設に関し米シンクタンクなどは対中債務の拡大リスクを指摘している。トンルン氏は「借り入れは計画的で、債務のわなの懸念はない」と強調した。
同鉄道は中国が7割、ラオスが3割を出資する合弁会社が2021年の開通を目指し、総工費60億ドル(約6540億円)をかけて建設中だ。トンルン氏は「中国やタイへの(農産物などの)輸出や観光客の増加が期待できる」と述べた。「内陸国ラオスの他国との接続性を高め、利益性が高い路線だ」と主張した。
ラオスは国連の指定する後発発展途上国(LDC)の一つ。トンルン氏は「ラオスは発展途上にあり、資金を借りなければ開発ができない」と述べ、一定の債務の拡大を許容する姿勢をみせた。
米中貿易摩擦の影響については「我々はどのような対立も望んでいない」と話し、両国の歩み寄りに期待した。中国の対米輸出の減速がラオスへの生産拠点の移転につながる可能性については「米中対立による漁夫の利はほしくない」と否定的な見解を示した。
ラオスの主要産業である水力発電を巡っては18年7月に建設中の発電用ダムで決壊事故が起き、少なくとも40人が死亡した。トンルン氏は「水力発電は依然として期待できる分野だ」と語り「ダム建設を進め、周辺国への電力輸出を推進する戦略に変更はない」と述べた。
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