茂木経財相、日米交渉「国益と国益のぶつかり合い」
茂木敏充経済財政・再生相は31日、国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)で講演し、日米貿易交渉について「国益と国益がぶつかりあう大変厳しい交渉」との見方を示した。自動車や農業の関税を巡る日米の立場にはなお隔たりがあるが「アジアの国々にとってもいいモデルとなるような成果をあげていきたい」と話した。
茂木氏は4月中旬以降、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と閣僚級の物品貿易協定(TAG)交渉を進めている。茂木氏は講演で、進捗状況について「良いスタートが切れていると思う」と話した。
最大の焦点となる日本の対米自動車輸出について、米国側は輸入数量規制や関税引き上げを示唆している。茂木氏は「環太平洋経済連携協定(TPP)が発効した現在、米国の要求はTPP超えというより、他国に劣後した状況を一刻も早く改善したいということだと受け止めている」との認識を示した。
茂木氏は世界での保護主義の台頭についても言及した。米中貿易戦争を巡っては追加関税の応酬になっているとし、「中国経済の減速により、世界や日本の経済へのさらなる影響が懸念される」と述べた。
トランプ米政権は30日、メキシコに対する追加関税を発表した。茂木氏は「ルールや協議によって解決するという方向を期待したい」と話した。
そのうえで、「日本やアジアが中心となって新たな共通ルールや課題解決モデルを提示する意義は大きくなっている」との見方を示した。日本が主導したTPP交渉を例に挙げ、日本の立場が「21世紀型のルール作りのリード役」に変わってきていると述べた。
日本経済新聞社は5月23、24日の両日、「揺れる世界とアジアのリーダーシップ」をテーマに日経フォーラム第29回「アジアの未来」を開催します。会場参加に加え、オンラインでの聴講も可能です。
第29回 開催概要