JPモルガン、男性社員に和解金5.5億円 育休取得巡り
【ニューヨーク=大島有美子】米大手銀JPモルガン・チェースは30日、男女平等の育児休暇を求めて同社の男性社員が起こした訴訟で、同社員に5百万ドル(約5億5千万円)を支払うことで和解した。男性は取得できる育休が女性より少ないのは差別だと主張していた。米国でも育児の男性参加を促す環境作りが課題となっている。
米メディアによると、育休の男女平等を求めた米国における訴訟の和解金では最高額という。男性社員は2017年6月に2人目の子どもが生まれた際、会社が「主に子育てする親」に認めていた16週間の有給の育休を申請した。だが教師として働いていた男性の妻が当時は夏休みを取っていたため、男性は2週間の育休しか認められなかった。男性は職場における性差別を禁じる連邦法に反するとして、訴訟を起こした。
JPモルガンは18年、「主に子育てする親」以外に認めていた育休の取得日数を2週間から6週間に伸ばすなど、育児支援の体制を強化した。「主に子育てするか否か」で取得できる育休の日数を分けている会社はまだ多い。ウェルズ・ファーゴも「主に子育てする親」以外が取得できる日数は4週間という。
今回のJPモルガンの巨額の和解金支払いは、子育ての主体は女性という概念が米国でも根強い現状を映す。企業が育児制度を再考するきっかけにもなりそうだ。