6月上旬に中ロ首脳会談、習主席が訪ロ
対米で足並みそろえる狙い
【北京=羽田野主】中国外務省は29日、習近平(シー・ジンピン)国家主席が6月5~7日の日程でロシアを公式訪問すると発表した。サンクトペテルブルクで開く国際経済フォーラムに出席し、プーチン大統領と会談する見通しだ。
両首脳の会談は4月に北京市で開いた一帯一路を巡る国際会議以来。米中貿易問題を抱える習氏にとって、トランプ米政権と距離を置いてきたプーチン氏との連携は欠かせない。中ロ関係を強化して対米で足並みをそろえる狙いがある。
トランプ政権もロシア疑惑を巡る捜査に一区切りついたとみてロシアとの関係改善に向けて踏み出している。ポンペオ米国務長官は5月中旬、ロシアを訪問し、プーチン氏と会談。6月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて米ロ首脳会談を開く方向で調整している。
中国の王毅外相も5月中旬に訪ロし、プーチン氏やラブロフ外相と会談。習氏のロシア訪問の最終調整をした。対立する米中がともにロシアを引き寄せようと外交攻勢をかけている構図だ。
特に習氏はプーチン氏と緊密な関係を維持しようと腐心している。プーチン氏が4月に訪中した際には参加した首脳級の中で最上級の扱いでもてなした。プーチン氏に習氏が卒業した清華大学の名誉博士号を授与する式典を開き、その式に習氏も出席して歓迎した。
米中貿易摩擦は激しさを増しており、習指導部は対米持久戦に向けて備えを進めている。対日関係の改善に欧州連合(EU)の切り崩し、広域経済圏構想「一帯一路」の推進を並行して進める。
とりわけ軍事大国で国連の常任理事国を担うロシアとの関係を重視している。南米のベネズエラや北朝鮮の非核化への対応を巡り思惑が重なっていることも大きい。中ロ首脳会談ではトランプ政権が攻勢を強めるイランへの対応も主要議題の一つになる見通しだ。