キリンHD、ジャガイモの大量培養技術を無償提供
国立研究機関に 病害に強い品種開発へ
キリンホールディングスは29日、国立研究開発法人の「農業・食品産業技術総合研究機構 種苗管理センター」(茨城県つくば市)にジャガイモを大量に増殖する技術を無償で提供すると発表した。種芋を安く効率的に培養する技術をキリンHDの基盤技術研究所(横浜市)が保有している。種苗管理センターは病害に強い品種の開発を目指す。
キリンHDの基盤技術研はジャガイモの種芋を効率的に培養できる「袋型培養槽」の分野で高い技術を持つ。従来の培養槽では1つの設備に数十万円かかり、操作も複雑だったが、袋型培養槽は大型設備が不要で大幅なコスト削減が見込める。
種苗管理センターは農協などを通じて種芋を農家に届けるルートを持つ。2015年には国内でジャガイモの病害が発生。病気に強い品種の大量培養が求められていた。
キリンHDは事業の選択と集中のため、アグリバイオ関連の子会社「キリンアグリバイオ」を10年にオランダの投資会社に売却した。ただ種芋の大量培養技術は基盤技術研が引き続き保有しており、14年から種苗管理センターに基本技術を無償供与してきた。今回、改めて契約を結び、袋型培養槽での培養技術も提供できるようにした。