トランプ氏演説「力による平和」強調 海自艦に初乗艦
トランプ米大統領は28日午前、安倍晋三首相と海上自衛隊の横須賀基地(神奈川県横須賀市)を訪れ、護衛艦「かが」を視察した。「かが」は事実上の空母化が決まっており、日本政府が購入する米国製のステルス戦闘機F35Bの搭載が可能となる。日米首脳がそろって乗艦し、強固な同盟関係をアピールした。トランプ氏はその後、米兵を前に「力による平和が必要だ」と演説し、日米連携の重要性を訴えた。
防衛省によると、米大統領が自衛隊の艦艇に乗るのは初めて。北朝鮮や中国をにらみ、日米同盟を重視する姿勢を強調する狙いがある。
トランプ氏と首相はそれぞれ別のヘリコプターで「かが」の甲板に着艦した。格納庫で海自隊員と米軍横須賀基地隊員を前に訓示した。
首相は「日米同盟はこれまでになく強固になった。『かが』の艦上に我々が並んで立っていることが証しだ」と述べた。「インド太平洋を自由で開かれたものにし、地域の平和と繁栄の礎にしないといけない」と力を込めた。
トランプ氏は横須賀基地について「米海軍艦隊と同盟国の海軍艦隊が並んで司令部を置く世界で唯一の港だ」と強調した。「かが」にF35Bの搭載が可能となることに言及し「この地域とより広い領域を様々で複雑な脅威から防衛する」と語った。
その後、トランプ氏はヘリで同じ横須賀港の米軍強襲揚陸艦「ワスプ」に移り、米兵を前に「私たちには力による平和が必要だ」と演説した。米軍の装備刷新に言及したうえで日本のF35戦闘機の調達計画にも触れ「F35戦闘機の数は米国の同盟国の中でもっとも多くなる」と指摘し、日本による米国製の防衛装備品の購入を評価した。「日米同盟はかつてないほどに強固だ」とも述べた。
日本政府は2018年末、いずも型と呼ばれる国内最大規模の護衛艦「かが」と「いずも」の2隻を空母化する方針を決定した。F35Bのような短距離離陸、垂直着艦ができる最新鋭の戦闘機が搭載できるよう甲板を改修する。
「かが」と「いずも」の事実上の空母化はインド太平洋地域で海洋進出を進める中国をけん制する狙いがある。弾道ミサイルの発射などで安全保障上の脅威が増す北朝鮮への対応も念頭にある。
岩屋毅防衛相は28日午前の閣議後の記者会見で「両首脳の『かが』訪問は日米同盟の強固な絆と日米が緊密に連携して自由で開かれたインド太平洋を構築していく意思を内外に示す意義がある」と強調した。
日本政府は現在運用するF4とF15戦闘機の改修が難しくなってきたことから、F35を次期主力戦闘機に位置付けている。当初はA型機を42機調達する計画だったが、18年末にB型機を含む147機体制に増やすことを決めた。抑止力の向上につなげるほか、米国製の防衛装備品を購入するよう求めるトランプ氏の意向に応えたものだ。
トランプ氏は27日の日米共同記者会見で「日本は米国の防衛装備品の世界最大の購入国の一つだ」と強調した。