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「温室」拒んだ雑草魂 上原の引き際に何を学ぶか

編集委員 篠山正幸

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シーズン半ば、巨人復帰後の上原浩治(44)が、ユニホームを脱いだ。復活を心待ちにしていたファンにとっては寂しい限りだろうが、誰よりも悔しい思いをし、決断の苦しさを味わったのは当人だろう。自己に対する厳しさを身をもって示した上原。残された現役組がその姿に学ぶことで、決断も報われる。

昨季、10年ぶりにメジャーから巨人に復帰した上原はセットアッパーとして投げたが、左膝の状態が思わしくなく、本調子ではなかったようだ。シーズンオフ、その膝にメスを入れ、復活への執念をうかがわせた。その割に、引退の決断はやけに早かった、という印象がぬぐえない。

20日の引退発表の記者会見で、もともと現役生活は今年限りと決めていた、と明かし、限られた時間のなかで、復調のめどが立たなかったことを、決断の理由に挙げた。

「手術をさせていただいて、体自体は投げられる状態だが、2軍戦で通用せず、気持ち的に後ろ向きになったのかな」

「来年があるんであれば、もうちょっと頑張ろうと、今年一年はやろう、という気持ちになったかもしれないが……。気持ちと体となかなか一致しなかったということ」

今季、2軍では9試合、計9イニングを投げて、被安打11、自責点4の防御率4.00だった。奪三振は10。確かに芳しい成績とはいえないが、野球評論家の権藤博氏が23日付の日本経済新聞「悠々球論」で指摘したように、一流を相手にしたときに本領が出る投手であって、2軍で投げて味が出る投手ではない。

1軍で投げて、それでもだめだったら、あきらめもつく。その機会すらなく、引退に至ったのは残念というほかない。

チームのためを思えばこその決断

上原はメジャーに活躍の場を移したときから、巨人復帰の道は自ら断っていたようだ。

「巨人に戻ってくることは正直、考えてなかったんで、自分を取ってくれた鹿取さん(義隆、前ゼネラルマネジャー)、由伸(高橋前監督)に感謝している」。高橋前監督はプロでは1年先輩になるが、ともに1975年4月3日生まれの同輩であり、盟友だ。

巨人復帰に際し、ファンは大歓声で迎えた。その愛され方はおそらく本人の予想をはるかに越えたものだったに違いない。

その分、チームに対する思いも深まったに違いない。チームに貢献できればそれがベストだが、間違っても迷惑をかけてはならない……と。

「(今季の最初の)3カ月が、僕の中では勝負、と決めていた。2月、3月、4月と練習していくなかで、一度も1軍に上がることなく、2軍で投げさせていただいたなかで抑えていない、という葛藤もあった。これが8月、9月になって、チームが首位争いとか、そういう状況になってるなかで、自分がこういう(進退に関する)会見とかをしているのは違う、と思った。それだったら、早く終わりたい、と」

辞めるならチームに影響のない形で、という強い意志があったことがうかがえる。

虎は死して皮を残し、人は死して名を残す、とか。上原は引退して何を残すのか。

日米にまたがる100勝、100セーブ、100ホールドの「トリプル100」や、第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本の優勝への貢献といった記録、功績は改めて語るまでもない。4シーズン優勝から遠ざかっているチームに残したものに、ここでは注目したい。

もはや戦力になれない、と自己診断し、決断したその場で、ユニホームを脱ぐということ。これは功成り名を遂げた選手としては、近年では珍しい辞め方かもしれない。

シーズン前に「今年限り」と引退を告知して、ファンとともに別れを惜しみつつ、引退という着地点に向かって、ゆっくり降下していくというやり方が、近ごろは増えてきた。

そうしたなかで決断、即引退という道を、上原は選んだ。その姿に、これからV奪還を目指して戦う後輩たちが、何を学ぶかが肝心なところだ。

現役でいることの重みとありがたみ

上原は「チームの功労者なのだから、自分の納得のいくまで、好きなだけやってくれ」というたぐいの厚意に甘えることを潔しとしなかった。つまり、いくら弱っても「ここの中なら大丈夫だから」といわれて「温室」のなかでぬくぬくと過ごすことを拒絶した。「雑草魂」の人らしい引き際ではないか。冬には枯れる、という厳しいけれど、自然の摂理に従う選択をしたのだ。

漫然とユニホームを着るのでなく、なぜ「自分はユニホームを着ていられるのか」と、上原は絶えず自問自答してきたのではないだろうか。

その決断を漫然と眺めている選手ばかりなら、巨人のV奪回は難しい。我が身のことととらえ、改めて現役でいることの重みとありがたみに思いを致す選手がいれば、V奪回も不可能ではないだろう。

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