「次世代へ橋渡し終えた」 大阪の老舗クジラ料理店閉店
大阪・千日前のクジラ料理店「徳家」が25日、約半世紀の歴史に幕を下ろした。おかみの大西睦子さん(76)が高齢となり後継者がいない上、7月から約30年ぶりに商業捕鯨が再開されるため閉店を決めた。大西さんは「鯨食文化が途絶えてしまわぬよう次世代に橋渡しする役目を終えた」と晴れやかな表情で語った。
徳家は1967年に創業。かつお節の効いた特製だしでクジラの赤身とたっぷりの水菜を炊く「ハリハリ鍋」が名物だった。88年、日本が商業捕鯨から撤退し鯨肉の流通量は激減。店も打撃を受けたが、大西さんは調査捕鯨の副産物で出た肉を仕入れてクジラ料理にこだわり続けた。
この日、店は予約でいっぱいになり、常連客らでにぎわった。午後10時、店先ののれんが外されると拍手が起こり「ありがとう」「お疲れさま」とねぎらいの言葉が掛けられた。大阪市浪速区の会社役員、安田威さん(43)は「学生時代から何度も通ったなじみの店。閉店は残念」と惜しんだ。〔共同〕
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