マツダ、新型「マツダ3」発売 ブランドも走りも一新
マツダは24日、主力小型車「アクセラ」を全面改良し、車名を「マツダ3」に変えて国内発売したと発表した。マツダはデザインから車体設計、エンジンまで、すべての商品群で順次刷新する。マツダ3は第1弾商品となる。細部までこだわりを詰め込み、主に40~50歳代の顧客層に訴求する。
同日、東京都内で開いた発表会で丸本明社長は「すべての領域の質感を磨き、お客様の期待にさらに高い次元で応えられる商品となった」と自信を示した。そのうえで「次の100年に向けて、存続し続けるために最も重要なことはマツダの独自性だ」と強調した。マツダ3は北米ではすでに導入しており、世界で年35万台の販売を目指す。
海外では「マツダ3」として販売してきたが、今回は国内での車名も「マツダ3」に統一する。国内営業本部の斉藤圭介主幹は、「前世代から大幅に高まった商品力を伝えて、『マツダ』というブランドで商品を選んでもらいたい」と話す。
新型マツダ3の商品コンセプトは「誰もが羨望するクルマ」だ。商品本部で開発責任者の別府耕太主査は「奇をてらうことなく、人の心が動くレベルまで魅力を高めたかった」と表現する。デザインや車体、エンジンラインアップを全面的に刷新した。
現行車「アクセラ」ではセダンとハッチバックを用意していた。今回もセダンとハッチバックに近いファストバックの2種類を用意した。従来はこの2種類は前後のドアなど多くの部品を共通で使い、後部のデザインを変えていただけだった。今回は「全く別の個性を与えた」(別府氏)。ボンネットやフロントガラス以外の多くの外装部品が異なる。
エンジンラインアップとして、燃費を最大3割向上させる新型エンジンをそろえる。同エンジンモデルの投入は10月を見込む。燃料の燃焼効率を高める新技術を開発した。さらに電動技術を組み合わせ、エンジンの駆動をサポートする簡易型ハイブリッド「マイルドハイブリッド」として搭載する。
車体の設計も抜本的に見直した。人が歩くときに自然に頭部の揺れを防ぐように、運転時も人の体に負荷がかかりにくいようにした。車体の剛性の調整や骨盤の動きまで踏まえたシート設計、サスペンション、タイヤまで様々な部品・機構を進化させた。
商品群の入れ替えに併せて、コネクテッド(つながる)サービスもマツダとして初めて本格的に展開する。車載通信機を搭載し、車両の状態をマツダや販売店に送る。事故などの緊急通報サービス、車両の状態確認など11種類のサービスが利用できる。初回登録から3年は無料で、4年目以降は有料とする。
これだけのこだわりを詰め込んだ新型マツダ3。同車種は車両の大きさで、「Cセグメント」に区分される。Cセグメントは、国内で2012年度に市場規模が40万台あったが、16年度には30万台規模に縮小している。世界的な多目的スポーツ車(SUV)人気、セダン離れが逆風となる。
デザイン、エンジン、車体、安全機能……。マツダのこだわりを凝縮した結果、価格帯は現行の182万~331万円から、新型車は218万~362万に引き上がる。世界戦略車と位置づけるが、開発に着手した約4年前から市場環境は目まぐるしく変化した。車が持つ本来の良さや感性を追う、マツダのメッセージがどこまで通じるかチャレンジでもある。(湯沢維久)
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