インド総選挙、モディ政権維持の公算 与党連合が優勢
株価指数は一時過去最高
【ニューデリー=早川麗】23日朝に開票が始まったインドの総選挙(下院、定数545)で、モディ政権が続投する公算が大きくなっている。モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)と友党の連合は総議席数の過半数を獲得する勢いだ。モディ氏は2月のテロを機に隣国パキスタンを空爆するなど強硬姿勢を示して「強い首相」をアピールし、国民の支持を集めたもようだ。
23日午後2時(日本時間同5時半)時点で、選挙管理委員会の発表による当選が確定した議席はない。ただ複数の地元メディアが開票の途中経過や民間出口調査を参考にモディ政権が維持される見込みと報じた。印テレビ局NDTVはBJPが前回より8議席上乗せし、290議席を獲得との見通しを報じている。BJPが2期続けて政権を担うのは初めて。
モディ氏続投の公算と伝わる中、主要株価指数SENSEXは取引時間中に前日比2%超上昇し、一時初めて4万を突破した。その後は3万9000台に戻したが、政権継続で株価指数が上昇するとみる向きは多く、米金融大手モルガン・スタンレーは短期的に4万5000まで上がると予想する。
総選挙は2期目をめざすモディ氏に、初代首相ネールのひ孫ラフル・ガンジー総裁が率いる国民会議派などの野党連合が挑む構図だった。国民会議派も議席数を増やす勢いだが、与党連合には届かなそうだ。
BJPは2014年の前回選挙で西部グジャラート州の州首相として地元経済を発展させたモディ氏の人気を背景に圧勝した。しかし、今回は18年末の地方選でBJPが惨敗したこともあり苦戦が予想された。
風向きを変えたのが2月にカシミール地方で起きたテロだ。パキスタンに本拠を置くテロ組織が犯行声明を出すと、モディ政権は越境し隣国内を空爆した。パキスタンに敵対感情を抱く国民は喝采し、モディ氏は演説台に「私は見回り兵」と標語を張り支持を訴えた。マニフェスト(政権公約)でも冒頭にテロとの戦いや安全保障を掲げた。
農民の所得を22年までに倍増することやインフラ整備に100兆ルピー(約160兆円)の投資といった経済政策も強調し、票の取り込みを図った。
一方、野党側は雇用創出や農村所得の底上げなどを実現できなかったとモディ政権を批判した。国民会議派はマニフェストで、低所得世帯に年7万2千ルピーを給付するとし、一部地方政党と組んで農家や貧困層に支持を訴えた。
モディ氏は就任1期目で外資規制の緩和や、産業の新陳代謝を促す破産倒産法の整備、長年の懸案だった全国統一の間接税「物品・サービス税(GST)」の導入などを果たした。だが16年末の高額2紙幣の廃止や、GSTの煩雑さなどが商工業者らの反発を招き、同氏の支持率は17年をピークに下落傾向にあった。テロ発生まではガンジー氏が支持率で追い上げていた。