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若トラ主将・糸原の献身 矢野改革の欠かせぬ軸に

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阪神・糸原健斗のユニホームの胸に光る「C(キャプテン)」マークは、チーム若返りの象徴だ。矢野燿大監督のもとに改革を目指す阪神は大胆に若手を抜てき。その先頭に入団3年目、26歳の糸原を立て、主将にした。

先代の主将は福留孝介。42歳の今も好打を放ち続けるが、ときおり"お休み"が必要になった。先々代の鳥谷敬(37)は遊撃復帰へ意欲を示したが、今のところは代打要員だ。

主将はレギュラーに限るという決まりはない。だが、やはり常時出場してプレーでチームを引っ張る選手がいい。糸原は2年目の昨季、チームでただ一人、主に二塁手として全試合に出場した。しかし、今季は強力なライバルの上本博紀が復活した。糸原にポジションが保証されているわけではない。

主将は小学生時代に経験しただけ。いわゆる「キャプテンシー」に問題はないかと、周囲は気遣った。だが、糸原を推した矢野監督は「その立場になれば自然に身につく。彼自身のためにもなる」と問題にしなかった。

開幕は7番二塁で迎えた。激しいポジション争いを、ひとまず乗り越えた。だが、序盤戦では打線が低調。糸原もそのムードに巻き込まれ、主将の任務を果たすどころではなかった。

矢野監督は当初、木浪聖也、近本光司の新人コンビで1、2番を組み、糸原は下位で勝負強さを生かすつもりだった。ところが、新人勢の出来に波があり、上本、北條史也を起用する必要もあって、糸原は「便利屋」もどきの起用をされた。

マウンドで助言、主将ぶりも板につく

近本、糸原で1、2番、木浪は8番の打順が機能するようになったのは、4月も半ば過ぎだった。首脳陣の試行錯誤をいい方向へ導くのに、糸原が果たした功績は渋く輝いた。

主将ぶりも次第に板についてきた。投手に変調の兆しが見えたとき、マウンドへ駆け寄って内野手の目で見た状況分析をして、短くアドバイスする。鳥谷が長年果たしてきた役目を、今は糸原が担っている。若手投手にだけでなく、ベテラン藤川球児、能見篤史に対しても自然に振る舞えるようになった。

目標だった「全イニング出場」の可能性は継投による選手起用の影響があって早々と消えた。だが、欠かせぬ戦力であることは変わらない。記録のための出場は1試合もなかった、といえる成績を残すつもりでいる。

2番打者としては、つなぎ役に徹する従来のタイプと違って「出塁を第一に考える」という。近本、糸原の出塁が勝利に結びつく確率が高いからだ。あとは自身を含め最近乱れがちな内野陣の守備を引き締めることだ。

(スポーツライター 浜田昭八)

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