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調達100億円、夢の終わり セブン・ドリーマーズ破綻

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自動で衣類を折り畳む家電を開発していた注目のスタートアップ企業が4月に経営破綻した。斬新なアイデアで総額100億円超の資金を集めたが、開発が難航し行き詰まった。新興企業に浮沈はつきものだが、今回の破綻には日本のスタートアップに共通の課題もみえる。ここ数年の新興ブームは真価を問われる局面を迎えた。

4月23日朝。セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(東京・港)の本社に集まった100人近い社員に、阪根信一社長(当時)がわびた。「このような形になり申し訳ない」。信用調査会社によると同日、負債総額31億8千万円で東京地裁から破産の決定がおりた。

2015年のデビューは鮮烈だった。自動衣類折り畳み機「ランドロイド」を家電見本市に出展。人工知能(AI)やロボット技術を駆使し、冷蔵庫ほどの大きさの本体に衣類を入れると自動で折り畳んで仕分けした。

1年の猶予も時間切れに

翌年にはパナソニック大和ハウス工業などが60億円を出資。経済産業省が有力新興企業「Jスタートアップ」と認定した。増資時の株式価格に株式数をかけて算出した日本経済新聞の調査「NEXTユニコーン」でも26位になった。

だが、17年秋に風向きが変わる。ユニクロの「エアリズム」のようなすべすべした衣類をアームでつかめないことが発覚したためで、出荷を17年度内から18年度にいったん延期した。

試行錯誤を経て19年春に公開した試作機では「エアリズムはたためていた」と複数の同社関係者は主張する。だが、新たな機構に対応するソフトの開発が壁だった。ハードの改良は進んだが、それを円滑に動かす頭脳部分のソフト改良が完成しない。

この間、コストを削減する一方、海外企業などと出資や買収を巡る交渉を進めた。セブン・ドリーマーズはすでに約400人が購入の意向を示し、200万円近い価格も量産効果で引き下げる計画を説明したもようだが、「投資家は商品の市場性に確信が持てなかったようだ」(元幹部)。万策が尽き、残された道は破産申請だけだった。

「飛び地」事業に難しさ

破綻劇の背景からは日本のスタートアップ共通の課題がみえてくる。

ひとつは「飛び地」の事業の難しさだ。阪根氏は実父が興した素材メーカーでランドロイドの開発に着手した。AIやロボット、画像認識の技術を必要としたが、経営陣にこうした分野の専門家は少なかった。

米国では専門領域で腕を磨いた技術者などが得意分野で起業するケースが多い。専門外の分野での起業は、優秀な人材を獲得できるかが分かれ道になる。セブン・ドリーマーズの場合「有名家電メーカーのOBを次々高給で採用し費用がかさんだ」(元社員)が、定着率は低かったという。

もう一つは複数の事業を同時に立ち上げる困難さだ。同社は高機能ゴルフシャフトや医療機器も手がけた。米シリコンバレーでベンチャーキャピタル(VC)などから資金を集めようとしたが、現地投資家は「複数の事業を抱えるスタートアップは焦点がぼやける」とそっぽを向いた。

スタートアップは斬新な発想で市場を開く。大胆であるほど成功の果実は大きいが、リスクも高くもろ刃の剣だ。セブン・ドリーマーズの場合「今は窮地だがもう少しやらせたい」と追加投資する企業がなかったことだけは事実だ。

大企業、「出資後」に課題

セブン・ドリーマーズの自動衣類折り畳み機はパナソニックや大和ハウスが製造・販売で協力する予定だった。両社は資本参加し、開発のための共同出資会社も設けた。だが、ちぐはぐな動きも目に付いた。

19年春に最新の試作機を展示したのは、パナソニックが中国の家電見本市に設けたブースだった。18年にはセブン・ドリーマーズに派遣する技術者を増やすなど、パナソニックは支援を強化していた。

一方で同社の管理部門には「そう簡単にうまくいかないことは織り込んでいた」と冷静な声がある。セブン・ドリーマーズへの出資を担当した家電部門のある幹部は「部門内にも様々な意見と感情があったと理解してほしい」と語る。

アイデアや技術で業界の構図を一変させようとする企業が次々登場し、大企業はスタートアップ企業と連携する「オープンイノベーション」に活路を見いだしている。自社との相乗効果を狙って投資するコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を相次いで設立した。

ジャパンベンチャーリサーチ(東京・港)によると、CVCを含む事業会社によるスタートアップ投資額は18年に2174億円となり、5年前の5倍近くにのぼった。

だが、大企業側が十分な準備をせずに組み、経営管理や指導で十分な役割を果たせていないケースも少なくない。

米DNXベンチャーズの倉林陽マネージングディレクターは「日本の事業会社の多くはプロのベンチャーキャピタル(VC)が何をしているか理解していない」と指摘する。米国では専業VCが、取締役を送り込むなどして経営を監督。経営陣の自律性を重視する一方、緊急時には強い指導力を発揮する。

オープンイノベーションに成功の方程式があるわけではない。ただ、連携を止めてしまえば大企業のイノベーションも停滞しかねず、失敗に学んで進むしかない。

(編集委員 奥平和行、鈴木健二朗、川崎なつ美、小泉裕之)

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