7月以降の原油減産幅、6月のOPEC会合に持ち越し
【ジッダ(サウジアラビア西部)=飛田雅則】石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国は19日、サウジアラビア西部のジッダで閣僚も出席した会合を開き、7月以降も協調減産を続ける方針を打ち出した。協議の焦点は減産幅を縮小するかどうかに移った。中東情勢に大きな影響を与える米国のトランプ政権が原油価格の引き下げを求めているからだ。結論は6月下旬のOPEC関連会合に持ち越されたが、原油価格は堅調に推移している。
国際指標の北海ブレント原油先物は20日、前週末比で1%ほど高い1バレル73ドルを中心とした値動きとなっている。19日の会合で産油国が7月以降も減産を維持する姿勢を示したことで、市場では原油の需給の緩和が遠のくと受け止められた。
19日の会合は主要産油国の閣僚が出席し、7月以降の協調減産の枠組みについて話し合った。サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は「政情不安のベネズエラやイラン制裁など供給の先行きは不透明だ。需要面でも不確実性がある」と述べ、減産の見直しについて引き続き議論が必要との認識を示した。
産油国は目標を大幅に超える減産を続けており、市場では需給が逼迫するとの観測が広がっている。ロシアのノワク・エネルギー相は記者団に「減産幅の縮小などが議論された」と明かした。ロイター通信は会合で行き過ぎた減産をやめて各国が目標値を順守する案や、減産目標を日量90万バレルに引き下げるという案が協議されたと報じた。
アラブ首長国連邦(UAE)からは「原油の在庫が増加している。現在の枠組みを変える必要はない」との指摘が出た。
OPEC加盟国のイランやベネズエラに対しては米国が原油輸出を大幅に制限する制裁を発動した。だが、世界経済には減速懸念が漂い、産油量を増やせば、原油価格の下落を招きかねない。
ファリハ氏は「6月まで様々な需要と供給のデータを分析し、対応を判断したい」と語った。トランプ米大統領は有権者が嫌うガソリン価格上昇につながる原油高を避ける考えで、4月下旬に「OPECは価格を引き下げるべきだ」と主張していた。
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