新潟県内の上場企業、製造業は好調 19年3月期
新潟県内の上場企業の2019年3月期決算が出そろった。全22社(金融機関を除く)のうち最終利益が前の期比で増益だったのは9社、減益は13社だった。国内外で販売好調な製造業や小売業の収益改善が目立った。一方、資材費などの上昇で建設業が苦戦したほか、暖冬など天候不順も一部企業の足かせになった。20年3月期は中国経済の減速や消費増税などが懸念材料だ。
売上高と最終利益(連結純利益もしくは単独税引き利益)がともに増えた増収増益は8社、減収増益は1社、増収減益は7社、減収減益は6社だった。
製造業は好決算が目立った。亀田製菓は純利益が7%増の44億円と過去最高を更新。売上高も初めて1000億円を超えた。主力の米菓が伸び、工場稼働率が上がったうえ、米国子会社の工場集約効果も寄与した。
北越工業もコンプレッサー(圧縮機)やエンジン発電機の北米向け販売が好調で、純利益は16%増の37億円と過去最高だった。「訪日外国人客の取り込みを狙う宿泊施設の建設も旺盛」で、国内需要も堅調だった。売上高も410億円と過去最高を記録した。
小売業ではアクシアルリテイリングの純利益が6%増の64億円となり、過去最高を更新した。店内で調理した総菜やプライベートブランド(PB=自主企画)商品の販売が伸びた。在庫管理の徹底も奏功した。
一方、建設業は資材費や人件費の上昇が響き、振るわなかった。植木組は原価管理などを徹底したが、純利益は16%減の10億円だった。第一建設工業は好業績だった前の期の反動に加え、北陸新幹線の防音設備工事など大型工事が一段落したことから、税引き利益は19%減の36億円だった。
暖冬は暖房機器メーカー2社に打撃を与えた。コロナの純利益は41%減の12億円、ダイニチ工業の税引き利益は43%減の3億8700万円だった。ともに主力の家庭用石油ファンヒーターの販売が低調だった。コロナは「銅やアルミニウムなど材料費の上昇も響いた」としている。
中古品買い取り販売のハードオフコーポレーションは豪雨による店舗休業や営業時間短縮が響いたほか、フリーマーケット(フリマ)アプリの台頭で既存店の売り上げが伸び悩んだ。不採算店の減損損失など特別損失3億8600万円も計上し、純利益は13%減の4億9300万円だった。
20年3月期の最終利益は12社が増益、10社が減益を見込む。米中貿易戦争や消費増税、人手不足など先行きの不透明感は強まっている。業務効率化によるコスト削減や海外市場開拓などの成長戦略の成否が業績を左右しそうだ。