統計不正、各府省に監視担当設置 統計委が防止案
厚生労働省の毎月勤労統計など公的統計で相次ぎ不適切な調査が発覚した問題で、総務省統計委員会の点検検証部会は16日に「第1次再発防止策」の素案を提示した。調査の実施状況などを監視する担当者を各府省に置くなどの防止策を盛り込んだ。5月下旬にも開く統計委での意見を踏まえ、今夏にも正式に決定する。
防止策は調査担当とは離れて独立した立場の職員による監視体制の強化や人材育成、実施内容の積極的な公開に重点を置いた。人材育成までに時間がかかることから、統計委が各府省と協力するとの方向性も出した。
監視体制の強化では、各府省に「分析審査担当官」を配置するといった対策を示した。調査担当者ではない立場で責任を持って、調査結果の公表前審査や誤りが発覚した後の原因分析などを担うと想定している。
現在は各府省に「統計幹事」と呼ばれる幹部クラスの責任者がいるが、実際は統計の実施内容などについて詳細に把握していないケースがある。統計幹事のうち統計の業務経験がない人は78%。幹事を補佐する幹部も、62%が統計業務に携わったことがない。
短期間の人事異動や配置換えによって知識の蓄積がないことも問題となっている。点検部会は「計画的に研修を受講させる」などの防止策を提起した。基幹統計には10年以上、重要な一般統計には5年以上の統計業務経験者を配置するとの項目も掲げた。
点検検証部会は今年1月、政府統計の相次ぐ不適切調査を受けて総務省統計委員会の下部会合として設置された。再発防止策の策定と併せ、各府省庁が実施する56の基幹統計と約230の一般統計の実施状況を一斉点検している。
部会によると、16日までに24の基幹統計と154の一般統計で数値の誤りや公表内容の不備などが明らかになった。このなかで特に見直しが必要な統計を5~6点選び、6月中にも集中的に審査する方針だ。