中国不動産、下落都市が減少 4月、8カ月ぶり低水準
【北京=原田逸策】中国国家統計局が16日発表した2019年4月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、価格が前月より下落したのは3月より2少ない2都市だった。下落都市数は昨年8月以来8カ月ぶりの低水準となる。上昇都市は3月より2多い67、横ばいは3月と同じ1だった。「2級都市」と呼ばれる、省都クラスの大都市での上昇が目立つ。
値上がり幅が大きいのは西安、杭州、武漢、重慶、昆明など地方の拠点となる大都市だ。18年までは「3級」「4級」と呼ぶ田舎の街が取引の中心だったが、19年に入ってからは再び大都市に脚光があたる。ただ、すでに不動産価格が国際的にみても割高とされる北京、上海、深圳は厳しい売買規制が続いており、値上がりも緩やかだ。
習近平(シー・ジンピン)指導部は大都市での不動産バブルを強く警戒する。経済情勢を議論した4月の政治局会議は「不動産は住むものであって投機の対象ではないとの位置づけを堅持する」と決め、不動産投機を強くけん制した。
3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の政府活動報告では李克強(リー・クォーチャン)首相がこの表現に言及せず、大都市での不動産取引が活発になる一因になっていた。党政治局会議は投機抑制の方針が変わらない点を改めて強調した格好で、5月以降は大都市での売買も減少する可能性がある。
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