テロあおる情報を即時削除、仏・NZなど宣言 FBも
【パリ=白石透冴】フランスとニュージーランド(NZ)、米フェイスブックなどは15日、ネット上でテロなどをあおる情報をただちに削除するとする宣言を発表した。3月にNZで起きた銃乱射テロ事件の動画がネットで拡散したことから、官民での対応が必要と判断した。実施を巡っては、表現の自由の保護とどうバランスをとるかも課題となりそうだ。
マクロン仏大統領やNZのアーダーン首相、メイ英首相のほか、米グーグル、フェイスブック、米ツイッターなどの幹部が出席する会議をパリの大統領府で開き、宣言をまとめた。
マクロン氏は会議後の記者会見で「ネットを、狂ったプロパガンダを広める道具にしてはいけない」と呼びかけた。
仏大統領府によると、会議には参加していない日本、ドイツ、インドも宣言への賛意を表明した。米国は理念には賛同したものの、表現の自由の尊重を理由に宣言への参加を見送った。
宣言では、企業側がテロリストによる情報のアップロードを妨げたり、ただちに削除したりすると表明。対応状況について、定期的に報告文書を作って公開するとした。政府側はインターネットの自由な利用を妨げないような規制を実施するとしている。
フランスは8月に開く主要7カ国(G7)首脳会議でも、ネット上の危険な情報への対策を主要議題の一つとしたい考えだ。取り組む国の数を増やすことで、IT大手に対策を強めるよう圧力をかける狙いがある。憎悪をあおるような情報が放置され、極右政治家が世界で勢力を伸ばすことへの危機感もある。
ただテロ情報をただちに削除するといった対策の有効性を疑問視する向きもある。アーダーン氏は世界に拡散した3月のテロ動画について「フェイスブックは150万回も削除したが、毎秒ごとにユーチューブに新たにアップされた」と明かした。
判断しにくい情報がネット上にある場合に、民間企業が削除の基準を決める弊害も指摘される。政府が関われば、政権にとって都合の悪い情報を消しているとの批判も出かねない。