首相「海外経済に十分留意」 内需下支え確保で対応
安倍晋三首相は14日の経済財政諮問会議で、日本経済の現状について「このところ輸出や生産の一部に弱さがみられており、先行きも海外経済の動向などに十分留意する必要がある」と述べた。そのうえで「内需の下支えを確保することで成長と分配の好循環をしっかりと確保することが重要だ」と指摘した。
内閣府が13日に国内景気の基調判断を6年2カ月ぶりに「悪化」と下方修正した3月の景気動向指数を発表して以降、首相が景気認識を示すのは初めて。政府・与党は10月の消費税率10%への引き上げを控え、米中貿易摩擦などで国内景気が冷え込んだ場合は経済対策も視野に柔軟に対応する構えだ。
14日の諮問会議は経済・物価情勢を中心に討議した。民間議員は「海外発のリスクを十分に注視し、その顕在化に対して迅速にマクロ経済政策を講じることが重要だ」と提言した。
政府は消費税増税への対策として、2019年度予算にキャッシュレス決済でのポイント還元やプレミアム商品券など2兆円超の経済対策を盛り込んだ。民間議員の提言は財政や金融政策での追加対策が念頭にある。
首相はこれまでリーマン・ショック級の出来事がない限り消費税増税を予定通り実施すると繰り返してきた。麻生太郎財務相は諮問会議に先立つ記者会見で、米中貿易摩擦が国内景気に悪影響を及ぼした場合の増税への影響について「今の段階でリーマン・ショック級の出来事になるとは考えていない」と語った。
自民党の二階俊博幹事長も14日の記者会見で、10月の増税方針に関して「党内ですでにそういう方針で臨むということになっている。よほどのことがない限り変更はないが、党内で十分に見極めて賢い判断をしてもらいたい」と述べた。今夏の参院選前に追加の経済対策を表明する可能性について「必要があれば」と語った。