維新、丸山氏を除名 北方領土返還めぐり「戦争」発言
日本維新の会は14日、持ち回りの常任役員会で、戦争による北方領土返還の是非を四島の元島民に質問した同党の丸山穂高衆院議員の除名を決めた。丸山氏が同日提出した離党届は受理しなかった。「大阪都構想」や夏の参院選への影響を最小限に抑えるため厳しい処置を急いだ。
党代表の松井一郎大阪市長は除名の理由を「国会議員としてあるまじき不適切な行為と発言だ。外交上の問題も非常に大きい」と説明した。丸山氏に「辞めるべきだ」と議員辞職も促した。大阪市役所で記者団に語った。
丸山氏はツイッターで「虚心坦懐(たんかい)に処分を受け止め、これより先は無所属で活動する」と議員辞職はしない考えを示した。「元島民の皆さまをはじめ、領土の返還を願い、その実現に向けてご尽力されてこられた全ての国民の皆さまに謝罪申し上げる」とも表明した。
丸山氏は11日夜、北方四島へのビザなし交流で訪れた国後島の宿泊施設で元島民の訪問団長に北方領土について「ロシアと戦争で取り返すのは賛成か反対か」と問いかけた。団長が「戦争なんて言葉を使いたくない」と応じると「戦争しないとどうしようもない」などと反論した。丸山氏は当時、飲酒した後だった。
菅義偉官房長官は14日の記者会見で「誰が見ても不適切だ」と指摘した。河野太郎外相はロシアとの北方領土交渉をめぐり「このような発言、行動は決してプラスにならない」と強調した。
ロシア上院のコサチョフ国際問題委員長は13日「最低(の発言)だ。そうした発言をするのは問題の解決を望まない人物だけだ」と非難した。ロシアメディアは丸山氏の党の除名処分決定や日本国内の反応を報じた。保守系のレグナム通信は「両政府は発言を看過するな」とする専門家のコメントを紹介した。
丸山氏は衆院大阪19区選出で当選3回。東大卒、経済産業省出身だ。2015年末に都内で飲酒した際、口論になった男性の手をかんで警察の事情聴取を受けた。当時、禁酒を宣言していた。