世界遺産、どのように選ぶ? 3つのポイント
大阪府南部にある百舌鳥(もず)・古市古墳群が世界文化遺産に登録される見通しになりました。歴史の教科書にも登場する仁徳天皇陵(大山古墳)がなかでも有名です。世界遺産登録までの流れや国内の登録遺跡などを整理しました。
(1)世界で千件超
1972年の国連教育科学文化機関(ユネスコ)総会で採択された世界遺産条約に基づき、遺跡や建造物、自然や生態系などを人類共有の財産として保護する制度です。文化遺産・自然遺産・複合遺産の3種類あります。火災が起きたパリのノートルダム寺院(大聖堂)も世界遺産の一つで、登録数は世界で1092件に上ります。
(2)国内では22件
日本国内では1993年に初めて登録されて以降、姫路城や屋久島など多くの文化財や自然が世界的に評価されてきました。今回の百舌鳥・古市古墳群で23件目となります。2020年には「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)の登録審査が予定されています。世界遺産自体の目新しさは薄れ、地域の観光振興の目玉としての役割は一過性で終わるケースが少なくありません。集客効果を高める工夫が求められています。
(3)登録までの流れは
通常、世界遺産は各国政府が候補を推薦し、ユネスコの諮問機関が審議します。諮問機関の勧告を経て、世界遺産委員会で21カ国の代表が協議して登録の可否を決めます。諮問機関の勧告を尊重するのが通例です。百舌鳥・古市古墳群については6月30日~7月10日にアゼルバイジャンで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式に決まる見通しです。