LIXILの取締役、9割を社外から 新体制案を発表
LIXILグループは13日の記者会見で、6月の株主総会にかける取締役の候補案について、人数を現在の12人から8人へと減らした上で、このうち9割にあたる7人を社外取締役とすることを発表した。これまで4人いた社外取は全員交代し、新たに元リコー社長兼最高経営責任者(CEO)の三浦善司氏、ベネッセホールディングス副会長の福原賢一氏らで構成する。
LIXILグループは2018年秋の首脳人事の手続きにコーポレートガバナンス(企業統治)上の問題があったとの批判を受け、経営体制を一新する。前社長兼CEOの瀬戸欣哉取締役も独自の候補案を株主提案しており、プロキシーファイト(委任状争奪戦)となる可能性がある。
新たな取締役候補は指名委員会が決めた。社外取は三浦氏や福原氏のほか、元最高裁判所判事の鬼丸かおる氏や、JVCケンウッド元会長の河原春郎氏ら。1人だけとした社内取締役は事業会社LIXIL社長兼最高執行責任者(COO)の大坪一彦氏となっている。
LIXILグループは18年秋、瀬戸氏の退任を発表した。同時に母体企業の一つであるトステム創業家で取締役会議長だった潮田洋一郎氏を会長兼CEOに、社外取締役だった山梨広一氏を社長兼COOに就任させると発表した。
この手続きにガバナンスの問題があるとして海外の機関投資家らが潮田、山梨両氏の取締役解任を求めていた。両氏はすでに退任を表明済みだ。
記者会見には山梨氏と、指名委員会委員で取締役の菊地義信氏が出席した。菊地氏は「客観的で強力な監督体制を構築する」と説明した。
山梨氏は株主総会をもって執行役も退任する方針だが、同日発表の24年3月期までの新経営計画について説明した。山梨氏は総会後も執行役に残るかについてコメントを避けた。菊地氏は「新たな取締役が決めること」と話した。
潮田氏も会見に登壇する予定だったが、直前にキャンセルした。山梨氏は「時間が限られる中で決算や経営計画などの発表があるので、説明者を絞った」と話した。
潮田氏によって事実上解任された瀬戸氏と、LIXIL母体企業の一つであるINAX創業家の伊奈啓一郎取締役も、瀬戸、伊奈両氏を含む8人の取締役候補案を提案している。瀬戸氏はCEOへの返り咲きを目指している。8人のうち、鬼丸氏ら2人は会社側案にも名を連ねている。
瀬戸氏は総会での可決に自信をみせるが「プロキシーファイトのような形にするのは好ましくない」と語っている。指名委員会が瀬戸氏提案の8人を会社提案の取締役候補とすることを期待していた。
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