米、すべての中国製品に関税 13日詳細公表
【ワシントン=鳳山太成】米通商代表部(USTR)は10日、中国からの輸入品すべてに制裁関税を課す準備を始めたと発表した。現在は対象外の約3千億ドル(約33兆円)分に「第4弾」の関税発動を検討する。同日に閣僚協議を終えた後にトランプ大統領は、中国との貿易交渉を続けると表明した。対話の窓口を残しつつ、相次いで制裁措置を打ち出して中国への圧力を一段と強める。
ライトハイザーUSTR代表が声明で、トランプ氏から残りの輸入品すべての関税の引き上げ手続きを進めるよう指示されたと明らかにした。13日に詳細を公表する。近く官報に通知し、産業界の意見を踏まえて発動日や対象品目を決める。実際の発動まで2カ月以上かかるのが通例だ。
第4弾には米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone」など携帯電話やパソコン、おもちゃなど幅広い製品が含まれる見通し。約4割が消費財とみられ、従来は避けてきた生活に身近な製品が一気に含まれる。トランプ氏は2018年夏以降に繰り返し言及してきたが、正式に手続きを始めたのは初めて。
米国は10日、2千億ドル分の中国製品に対する制裁関税を現在の10%から25%に引き上げた。米中は同日、貿易問題を巡る2日間の閣僚級協議を終えた。トランプ氏は「(閣僚間で)率直で建設的な議論をした」とツイッターで説明し、米国が課す制裁関税を取り下げるかどうかは今後の交渉次第だと指摘した。
中国の劉鶴副首相は10日、協議後に中国国営テレビなどのインタビューに応じた。米国による追加の関税引き上げに「強烈に反対する。中国は必ず報復する」と述べた。協議については「米中が一致していない部分がある。中国は原則にかかわる問題では決して譲らない」と語った。中国国営新華社などによると、中国は(1)追加関税の合意後の即時撤廃(2)米国製品の輸入規模の縮小(3)協定本文での中国の主権と尊厳の尊重を求め、米国と対立したとみられる。
次回の貿易協議についてムニューシン米財務長官は現時点で予定がないと説明した。米CNBCテレビが伝えた。一方、劉氏は「北京での再会を約束した。交渉は継続する」と述べた。
トランプ氏は「中国が米国の農家から製品を買い始めて支援してくれるのを待つのはうんざりだ」と不満を表した。中国は貿易協議で合意すれば大豆など米国の農産品を買い増す意向を示していた。パーデュー農務長官によると、トランプ氏が農業支援策を検討するよう指示した。長期戦に備えて有権者の支持をつなぎ留める狙いがある。
ドナルド・トランプ元アメリカ大統領に関する最新ニュースを紹介します。11月の米大統領選挙で共和党の候補者として、バイデン大統領と再び対決します。「もしトラ」の世界はどうなるのか、など解説します。