ベネズエラ野党指導者「米軍介入、受け入れる」
【サンパウロ=外山尚之】ベネズエラの野党指導者グアイド国会議長は10日までに「もし米国が軍事介入を提案したら私は受け入れるだろう」と述べ、米軍の介入を拒否しない方針を示した。4月30日に軍人の蜂起を呼びかけたが失敗に終わり、マドゥロ政権は野党の有力議員を身柄拘束するなど強権姿勢を強めている。不利な状況に追いこまれる中で米国の介入に期待を示したが、周辺国や欧州諸国の反発は避けられない。
イタリア主要紙スタンパがグアイド氏のインタビューを10日に報じた。マドゥロ政権は8日にサンブラノ国会副議長の身柄を拘束した。グアイド氏は政権が「レッドラインを越えた」と非難し、事態打開のため、軍事介入も排除しないと発言した。
トランプ米政権を後ろ盾とするグアイド氏はこれまでも軍事介入を否定してこなかったが、同氏を支持する中南米や欧州諸国は軍事介入に明確に反対してきた。自国への攻撃を要請する姿勢に対する、国内からの批判も避けられない。
発言からはグアイド氏の焦りが透けて見える。グアイド氏とともに蜂起を呼びかけた野党指導者のレオポルド・ロペス氏はスペイン大使館に保護を申請した。9日には他の野党議員2人もそれぞれアルゼンチンとイタリア大使館に逃げ込んだ。政権側が強権姿勢を強める中、野党陣営は完全に勢いを失っている。グアイド氏は11日にも大規模な反政府デモを呼びかけるとしているが、手詰まり感が漂う。
米財務省は10日、サンブラノ氏の身柄拘束に対する報復措置として、ベネズエラからキューバに石油を運搬する船舶2隻とオーナーに経済制裁を発動し、米国内の資産を凍結する。マドゥロ政権に強い影響力を持つキューバを締め上げることで圧力とするが、これまでの制裁の延長線上にあり、事態打開につながる可能性は低い。