オリンパスの19年3月期、純利益86%減 一時費用膨らむ
オリンパスが10日発表した2019年3月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比86%減の81億円だった。54%減の260億円を見込んでいた従来予想から減益幅が拡大した。過去の不正会計を巡る訴訟の和解金や、デジタルカメラの中国工場閉鎖に伴う費用が膨らんだ。主力の内視鏡事業は堅調で、20年3月期は急回復を見込む。
売上高は微増の7938億円だった。内視鏡などを手がける医療事業の売上高は3%増の6343億円で過去最高だった。オリンパスは胃や腸に使う消化器内視鏡を主力とし、世界シェア7割を握る。身体的負担が少ない内視鏡市場は成長が続いており、米国やアジア・オセアニアで販売を伸ばした。国内はモデル末期に入っていることなどで振るわなかった。外科向けの内視鏡や治療器具の販売は国内外で増加した。
営業利益は65%減の282億円だった。11年に発覚した不正会計問題を巡って株主から損害賠償を求められていた訴訟の和解金194億円を計上。内視鏡を巡る院内感染について米司法省と結んだ司法取引の費用97億円も響いた。
ミラーレスカメラを中心とする映像事業では中国工場の閉鎖に伴う費用が膨らんだ。生産拠点の再編で新製品を出せない時期があった。キヤノンやニコンのミラーレスへの本格参入で競争が激化し、価格低下で原価率も悪化した。映像事業の営業損益は183億円の赤字(前年同期は12億円の赤字)だった。
同日発表した20年3月期の業績見通しは売上高が前期比微増の8000億円、純利益が7.7倍の630億円を見込む。売上高で8200億円、純利益で680億円という直近の市場予想平均(QUICKコンセンサス)は下回った。市場で今期中に見込まれている内視鏡の新製品発売は、会社予想には織り込まれていない。
今期は医療事業や顕微鏡などの科学事業が堅調に伸びるが、為替の円高は逆風になる。為替は対ドルで105円、対ユーロで120円と想定する。映像事業は生産拠点の再編が終了し、赤字幅が縮小する見通しだ。同日の記者会見で竹内康雄社長は映像事業について「オリンパスの光学技術を支える重要な事業だ。構造改革を進め早期に最低でもブレークイーブン(損益均衡)にしたい」と述べた。
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