NTT東西、地域版5Gへの参入意向示す
NTT東日本・西日本は10日、総務省が今秋にも電波割り当てを予定する地域限定の次世代通信規格「ローカル5G」に参入したい意向を明らかにした。ローカル5Gに対してはNECやパナソニックなどのメーカーやCATV事業者なども興味を示している。参入に向けた各社の競争が激しくなりそうだ。
ローカル5Gとは、工場内や作業現場など地域限定で使える無線通信を、携帯大手以外の業種にも幅広く開放しようという取り組みだ。総務省は2018年末から導入に向けた議論を本格化させている。携帯大手には、この電波は当面割り当てない。
NTT東日本の井上福造社長は「(あらゆるモノがネットにつながる)IoTのネットワークを作るには無線回線がほしい。今後の法制度次第だが、周波数を獲得できるのであれば農場や自営施設内などでローカル5Gを展開したい」と語った。NTT西日本の小林充佳社長も「参入できるようになるのであれば、東日本と一緒にチャレンジしたい」とした。
NTTグループ内では既にNTTドコモが全国エリア向けの5G周波数を獲得。20年春の商用化に向けた取り組みを進めている。NTT東の井上社長は「ローカル5Gは地域限定ネットワークとなるのでドコモとは競合しない。むしろ連携できるのではないか」という考えを示した。
NTTグループが同日発表した19年3月期の連結決算は、売上高が対前年0.8%増の11兆8798億円、営業利益が同3.2%増の1兆6938億円の増収増益で、いずれも過去最高となった。20年3月期の業績予想はNTTドコモの料金値下げに伴う減益影響が響き、売上高は対前年498億円減の11兆8300億円、営業利益は同1438億円減の1兆5500億円と減収・減益予想とした。同社の澤田純社長は「今期を底に利益回復を目指していきたい」と強調した。(堀越功)