AIIBが初の外債2750億円、国際資本市場にデビュー
【ロンドン=篠崎健太】中国が主導して2016年に開業したアジアインフラ投資銀行(AIIB)は9日、25億ドル(約2750億円)のドル建て債券の発行条件が決まったと発表した。年限は5年で利率は年2.25%となった。AIIBが外債を出すのは初めて。資本市場へのデビューで資金調達の幅が広がり、国際開発金融機関としての存在感を高めそうだ。
ロンドン時間の同日午後に締め切られた入札では、予定額の2倍弱にあたる44億ドル余りの応募が27カ国からあった。購入者の属性は中央銀行や公的機関が67%を占め、銀行の25%、運用会社の5%などが続いた。債券はロンドン証券取引所に上場される。
AIIBは調達した資金をアジアの交通、水利、クリーンエネルギーなどのインフラ投資に充てる。国際市場での起債を実現したことで、投融資に必要な資金調達の自由度が高まった。金立群総裁は声明で「資本市場への参加によりグローバル投資家の支援を得て、インフラ投資を促進できる」と意義を強調した。
AIIBは17年にS&Pグローバル・レーティングなど米英の大手格付け会社3社から、最上位にあたる「トリプルA」の格付けを得ていた。今回の発行利率は5年物の米国債とほぼ並ぶ水準で、グローバルな投資家から高い信用力を認められたことを意味する。
AIIBは最大の出資国である中国が主導し、英国やドイツなどが参加して16年1月に始動した。これまでに100近い国々が加わっているが、米国や日本は加盟を見送っている。