米、中国国有通信最大手の参入却下を正式決定
【ワシントン=鳳山太成】米連邦通信委員会(FCC)は9日、中国国有通信最大手、中国移動(チャイナモバイル)の米国参入を認めない方針を正式決定した。米国の通信網につながれば中国政府のスパイ活動などに使われる安全保障上のリスクを考慮した。通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)とあわせて、中国の通信業界全体への警戒を強めている。
9日の定期会合でパイ委員長が4月に提案した事業申請の却下を議論し、5人の委員が全会一致で賛成した。中国移動は米国と外国をつなぐ国際電話などのサービスを展開するため、2011年に米政府に認可を求めていた。
委員らは中国移動の参入を認めれば、米国の通信網がサイバー攻撃を受けたり、機密情報を抜き取られたりするリスクがあると指摘した。商務省など米政府機関は18年7月、長期間の調査を踏まえて申請を認めないようFCCに勧告していた。
中国移動は中国政府が直接管理する国有企業。習近平(シー・ジンピン)最高指導部が力を入れる次世代通信規格「5G」の普及も主導している。
会合では既に米国で免許を与えられ事業を展開している他の中国通信会社、中国電信(チャイナテレコム)と中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)の免許も見直すべきだとの意見も出た。米政府はファーウェイの通信機器の調達も禁じており、中国の通信関連会社の締め出しを進めている。
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