テンセント、ゲーム「死亡なし」に衣替え 政府に配慮
【広州=比奈田悠佑】中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)は9日、人気スマートフォン対戦ゲームのサービスを終え、新しいゲームへ移行した。暴力表現を減らすなど青少年へのゲームによる悪影響を懸念する政府に配慮した。当局の審査が新作発売を左右するなか政府の意向をくみ、ゲーム事業を収益源として堅持したい考えが透ける。
戦闘ゲーム「プレーヤーアンノウンズ・バトルグラウンズ(PUBG)」の中国版のサービスを終了、同種のゲーム「和平精英」を始めた。従来は銃で被弾した際に血しぶきのような描写や死亡する表現があったが、血しぶきはなく手を振って消えるといった表現に置き換えた。日本など他の国は従来通りサービスを続ける。
テンセントはPUBGの中国版をこれまで試験運用してきた。当局が暴力的表現をよしとせず正式運用の許認可が下りなかったとみられる。和平精英では利用者の登録情報を引き継ぐなどの措置をとるが、世界観の変化による利用者離れも懸念される。
ただテンセントにとっては正式運用にこぎ着けたことで、キャラクターの衣装購入といった課金サービスを導入できる。試験運用は課金サービスが組み込めず、開発費の回収が課題となっていた。政府方針への恭順がテンセントのゲーム事業を前進させるか後退させるか、投資家は注目している。