鉄道延伸など課題に 京阪HD、社長に石丸氏
京阪ホールディングス(HD)は9日、石丸昌宏取締役常務執行役員(57)が6月19日付で社長に昇格する人事を発表した。加藤好文社長(67)は代表権のある会長に就く。営業最高益を更新するなど業績が拡大する中で若返りを図る。石丸氏は統合型リゾート(IR)の誘致実現を前提にした鉄道延伸や、流通など非鉄道事業の一層の拡大を担うことになる。
「経営が安定し、やるべきことが大筋で見えてきた今こそ、新社長に代わる絶好のタイミングだ」。9日午後、大阪市内で記者会見した加藤氏は社長交代を決めた理由をこう説明した。石丸氏には「若さと決断力があり、バランス感覚に優れている。十分に任務を果たしてくれる」と期待を込めた。
加藤氏が社長に就いたのは2011年6月。その後、訪日外国人(インバウンド)の増加を追い風に鉄道事業やホテル事業の拡大を先導し、不動産事業もノウハウの蓄積で稼ぐ力を高めてきた。
足元では座席指定の有料車両「プレミアムカー」といった戦略もあたり、19年3月期の連結営業利益は前の期比7%増の337億円と過去最高を更新。11年3月期の約2倍の規模だ。
京阪HDは大阪府・市が誘致するカジノを含むIRが大阪に決まった場合、中之島線を延伸し、京都から夢洲(ゆめしま)を結ぶ構想を公表している。石丸氏は「誘致が決まればスピード感を持って着手したい」と述べた。
少子化が進むなかで成長を続けるには非鉄道事業の拡大も不可欠だ。石丸氏は流通事業について「売り上げはあるが、利益は少ない。しっかり稼げる事業に育てたい」とテコ入れする考えを示した。