韓国、北朝鮮に食糧支援検討 米高官と協議
【ソウル=恩地洋介】韓国政府は9日、北朝鮮に対する食糧支援の検討に着手した。国連世界食糧計画(WFP)などが北朝鮮の食糧不足を指摘しており、人道支援を通じて北朝鮮との対話継続につなげる狙い。ソウルを訪れている米国のビーガン北朝鮮担当特別代表が10日にかけて韓国側と具体策を協議する。
韓国外務省は9日の記者会見で、康京和(カン・ギョンファ)外相が13日にWFPのビーズリー事務局長とソウルで会談すると発表した。これに先立ち、同省の李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長が9日にビーガン氏と会談した。10日にも康氏や韓国大統領府高官らがビーガン氏と支援の規模や方法を巡り協議する予定だ。
WFPなどは先に、北朝鮮が2018年の猛暑や洪水の影響で農産物収穫量が過去10年で最低水準に落ち込んだと明らかにした。人口の4割に相当する1010万人が食糧不足に陥っているとした。韓国統一省は「国際社会と協調し、北朝鮮住民への人道的な食糧支援を推進する」と表明した。
韓国大統領府によると、7日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領と電話協議したトランプ米大統領は食糧支援を支持する考えを表明したという。韓国政府は00年代に複数回、水害支援などを理由に北朝鮮に食糧を直接提供した。直近では10年にコメ5千トンを無償支援している。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。