蛇にかまれ8万人超死亡 WHO「緊急医療整備を」
【ジュネーブ=共同】世界保健機関(WHO)は7日、コブラやまむしなどの蛇にかまれて死亡する人が世界で年間推計8万1千~13万8千人に上ると発表した。2030年までに死者数半減を目指すとして、被害の多いアジアやアフリカの途上国を中心に緊急医療体制整備を促した。
WHOによると、1年に540万人が蛇にかまれ、うち270万人が毒による被害を受けている。地域別ではアジアが約200万人と最多で、アフリカ、中南米と続く。
農作業中の男性がかまれたり、通学中の子どもやトイレで女性が被害に遭ったりする例も多く、特に体の小さい子供はより深刻な被害を受けやすいという。
蛇の毒は呼吸困難や出血障害などを引き起こし、最悪死に至る。全身に障害が残るなどの後遺症がもたらされることもある。
治療には抗毒血清が有効だが、先進国などでの需要減少に伴い過去20年、価格上昇が続いているとWHOは指摘。最も必要とされるアジアやアフリカの低所得国で入手が困難になっており「各国政府が支援して血清の供給体制を整えることが重要だ」と強調している。