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目利きが選ぶ令和の起業家3人 宇宙・AI・金融

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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

「令和」の時代に羽ばたく起業家は誰か――。ベンチャーキャピタリストなどスタートアップ企業の「目利き」に、10年後に活躍が見込まれるスタートアップ経営者の名前を挙げてもらった。特に注目が集まる宇宙、人工知能(AI)、フィンテックの3分野から、目利きの期待を集めた経営者に、令和の社会や自分の事業の姿を語ってもらった。

月への物資輸送任せて

「令和時代には月でのビジネス機会が大きく広がる。10年後は月への物資輸送のニーズが増えるだろう。当社は30キログラムなど軽い荷物を頻繁に運んで実績をあげる。月面の水資源を水素燃料に使えることを実証し、量産体制も整えたい」

月探査機を開発するispace(アイスペース、東京・港)の袴田武史最高経営責任者(CEO、39)は、月を基点にビジネス展開する構想を描く。

最初に商用化を想定するのが物資輸送だ。米航空宇宙局(NASA)主導で月を周回する有人の宇宙ステーションを造る計画などが追い風になるとみる。

その次が水資源の開発だ。アイスペースは月の水資源を水素と酸素に分け、燃料として供給することを計画する。月面で人が生活できるように、エネルギーインフラを整備していきたいという。

「2020年に月を周回する探査機、21年に月に着陸する探査機を打ち上げる予定だ。月輸送をサービスとして試みる企業は世界で10社くらい。探査機や宇宙船を小さく軽く造る当社の技術は、海外勢にはまねできない」

世界で月をめざす動きは活発だ。アイスペースはアポロ計画で宇宙船を月面に着陸させた技術を持つ米ドレイパー研究所と提携した。「一度宇宙に出た機器は直せない。ものづくりの品質が高い日本が拠点であることは利点だ」と、国際競争でも好位置につけているとみている。

「宇宙ビジネスは研究開発で資金が必要だ。10年後には新規株式公開(IPO)している可能性もある。社員は1千人規模に増えているかもしれない」

アイスペースの社員は現在約70人。17~18年にINCJ(旧産業革新機構)などから103億円を調達した。大型の資金調達をしたアイスペースが上場の成功例を作れるかどうかは、後に続く宇宙スタートアップへの投資を左右する。

「日本の宇宙スタートアップはまだ少ないが、各社の事業は特徴的だ。宇宙でビジネスをする企業や起業家はさらに増えるだろう」

宇宙ビジネスを新興企業が主導するのは世界的な流れだ。米国は宇宙関連のスタートアップが1千社超、中国も100社規模とされる。日本の存在感を示すためにアイスペースなど新興勢の活躍は欠かせない。「私個人も国際的な場で発信していきたい」と自ら先頭に立つ覚悟だ。

認知症 AI使い交流

「令和の時代に日本は超高齢化社会を迎える。人工知能(AI)を活用し、認知症の人とそうでない人がコミュニケーションを取れる社会を実現する」

AIスタートアップのエクサウィザーズ(東京・港)はAIを使った社会課題の解決を目指す。石山洸社長(37)がとくに力を入れるのが、AIを使った介護者のスキルアップや要介護者の自立支援だ。

介護者のスキルアップでは、フランスで生まれた手法「ユマニチュード」を活用。認知症患者との目線の合わせ方など細やかなケア手法をAIで解析し、介護支援に生かす。家族から介護者まで多くの人と認知症の人がコミュニケーションできる未来に向け、開発を進めている。

認知症患者のケアは子どもから高齢者まで様々な人が携わる。市民向けの研修でAIが解答に赤ペンを入れて返すなど、研修にAIを実装する取り組みも始めている。

「料理が終わるとスマートスピーカーが「火を消し忘れていませんか」と知らせるなど、IT(情報技術)を使った自立支援の普及を後押ししたい」

自宅に設置したAIカメラやスピーカーを使い、認知症患者の自立も支援する。料理好きな人が認知症を発症し、事故防止のため料理を禁止された場合、生きがいを失う可能性がある。AIが注意喚起したり、代わりに火を止めたりできれば、QOL(生活の質)が維持できる。

服薬ミスの防止や外出時の道案内など、様々な生活の場面でAIの活用の可能性は広がる。家の中を歩いているところをカメラでAIが解析すれば、転倒リスクの把握など介護にも役立つ。5~10年間で順次開発し実装していく計画だ。

「日本の超高齢化社会は世界で最初の実例だ。AIやロボットの活用が広がるだろう」

様々な業種で高い成果を出す人の技術をAIが学習し、人へコーチングすることで従業員の生産性を高める動きが広がる。危険な仕事や大変な仕事は、より複雑な動きができるロボットへ代替が進む。

日本の課題は、他の国も時間を経て向き合うことになるだろう。将来は中国など日本の後により大きな規模で同じ課題を抱える国でも事業を展開したい。

貧困救う民間版・世銀

「2030年には50カ国・地域の1億人以上の支援を目指している。支援地域はアジアからアフリカ、中南米と東から西へ向かうが、行く余地のある国には全て行きたい。民間版の世界銀行を目指す」

新興国で零細企業や個人向けのマイクロファイナンス(小口融資)を手がける五常・アンド・カンパニー(東京・渋谷)。創業者の慎泰俊社長(37)は数万円の融資で貧困から脱出するきっかけを与えようとアジア各国を飛び回っている。

数万円の融資を得てミシンや牛、機械を買えば、何倍もの生産性を得られる。集会所で融資を行ってお金を集める。周囲の目があるため返済率は高いそうだ。

スリランカ、インド、カンボジア、ミャンマーに子会社を持つ。農村などで働く人に事業用の資金として1万~2万円融資する。顧客は9割が子どもを持つ女性だ。顧客は34万人を超え、融資総額は約200億円。金利は20%強と世界平均の30%を下回る。

「途上国はプロフェッショナルの経営者が少ない。小口融資はうまくいっているが、保険などほかの金融サービスはまだ改善余地が大きい。金融サービスへのアクセスがない人は20億人もいる。金利は世界平均で30%とまだ高い」

持ち株会社方式を取り、ノウハウを持つ従業員を各地で育てることでサービスを広げる。グループで従業員は2千人に迫るが、五常本体の社員は1%に満たない。NPO活動を通じて現地で知り合った仲間と事業を広げている。

現地の状況や習慣を熟知している経営陣をそろえ、現地の考えを尊重する。共同創業者らが投資先の目利きとして、候補となる現地の金融機関を回り、人材育成などを細かく指導する。

「金利は10%前半にしたい。サービスも国際送金や保険などに広げる計画だ。金利を低くするため、コスト削減にテクノロジーへの投資を進める」

事業は黒字化した。19年12月期の売上高は40億~50億円を見込む。インドでは現地の銀行と融資の回収に指紋認証を使ってコストを下げる。返済の延滞率を抑えるため、データを使った信用リスクモデルも活用する。最新技術を駆使しながら、世界で機会の不平等がなくなるまで走り続ける。

SDGs対応事業へマネー

令和時代に活躍が期待される起業家の特徴や日本のスタートアップの未来像について、日本ベンチャーキャピタル(VC)協会の仮屋薗聡一会長に聞いた。

仮屋薗氏が令和の時代のキーワードとして挙げるのが「社会性」だ。

平成時代は事業を急成長させて、新規株式公開(IPO)するなど、財務的成果をはやく出すことが評価された。だが平成の終わりごろから、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」や環境・社会・ガバナンスに配慮した「ESG投資」に世界は注目。機関投資家やVCは、新興企業にもこれらへの対応を求めるようになった。「社会性を持ったユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)を育てる機運が高まりそうだ」という。

スタートアップが手がける事業領域も「人工知能(AI)やロボットなどの先端技術を使い、教育や農業といったリアルな産業の課題を解決する起業家が増えそう」。五常・アンド・カンパニーの慎泰俊社長は「日本の潤沢な金融資産を使って、世界の新興国の発展を手助けしている」と評価する。外国人や女性といったダイバーシティー(多様性)も令和時代のテーマになりそうだとみている。

調査の方法

ベンチャーキャピタリストや投資ファンドなどの代表者らに約10年後に活躍が期待されるスタートアップ経営者を挙げてもらった。回答者の一覧は次の通り。

 吉田行宏(アイランドクレア)/赤浦徹(インキュベイトファンド)/松本真尚(WiL)/瀧口匡(ウエルインベストメント)/五ノ坪良輔(京都大学イノベーションキャピタル)/山岸広太郎(慶応イノベーション・イニシアティブ)/吉沢美弥子(コーラル・キャピタル)/倉林陽(DNXベンチャーズ)/郷治友孝(東京大学エッジキャピタル)/山本貴史(東京大学TLO)/鎌田富久(TomyK)/千葉功太郎(ドローンファンド)/阿部修平(未来創生ファンド)/岡田祐之(みらい創造機構)/守屋実(守屋実事務所)/永田暁彦(リアルテックファンド)/丸幸弘(リバネス)
(敬称略、社長またはファンドの代表者など、社名・法人名で五十音順)

(企業報道部 鈴木健二朗、佐藤史佳、駿河翼、山田遼太郎)

[日経産業新聞2019年5月1日付]

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