米バークシャー、アマゾン株に投資 バフェット氏明かす
【オマハ(ネブラスカ州)=宮本岳則】米著名投資家ウォーレン・バフェット氏は2日、米テレビ局CNBCのインタビューに応じ、自身が率いる米複合会社バークシャー・ハザウェイが米電子商取引(EC)大手アマゾン・ドット・コム株を初めて取得したことを明らかにした。長年ハイテク株から距離を置いてきたバークシャーだったが、18年のアップル株大量取得に続き、投資姿勢の転換が鮮明になった。
バフェット氏はインタビューの中で、米アマゾンについて「ずっとファンだった。(株を)買わなかったのは愚かだった」と述べた。ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)の指導力も高く評価しているという。株購入のタイミングや投資額については不明。詳細は5月末にバークシャーが米証券取引委員会(SEC)に提出する株式保有に関する四半期報告で明らかになりそうだ。
バフェット氏は「事業内容が理解できないものには投資しない」方針を貫き、長らくIT(情報技術)などハイテク関連への投資に後ろ向きだった。こうした姿勢が00年のITバブル崩壊から運用資産を守り、同氏の名声を高めた。ところが近年は「FAANG」などと呼ばれる大型ハイテク株主導の株高に乗り切れず、バークシャー株の運用収益は市場平均並みにとどまっていた。
バフェット氏の姿勢に大きな変化があったのは、18年のアップル株大量取得だ。昨年5月の株主総会前に7500万株を追加で購入し、持ち株比率5%の大株主に浮上した。バフェット氏は「100%保有したい」と語るなど、いまやお気に入り銘柄の一つになっている。主力スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」で顧客を囲い込み、音楽や決済で稼ぐビジネスモデルを評価する。
バフェット氏はCNBCのインタビューで「当社で資金を運用する同僚の一人」がアマゾン株を買ったと説明した。88歳と高齢のバフェット氏は、すでに一部資産の運用を投資マネジャーのトッド・コームズ氏とテッド・ウェシュラー氏に任せている。「バフェット後」を見据えた運用体制の変化が、バークシャーの投資戦略にも影響を及ぼし始めている。
アマゾン株は年初から2日の取引終了までに3割上昇した。3日の取引でも前日比3%超高で取引を終了した。バークシャーは4日にネブラスカ州オマハで年次株主総会を開く予定で、バフェット氏の発言に注目が集まっている。
著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハザウェイの投資動向や解説、同氏に学ぶ投資術に関する記事をまとめました。
ウォーレン・バフェット氏(Warren Buffett) 1930年、米中西部ネブラスカ州のオマハに生まれる。6歳からガムを売り歩き、11歳で株式投資を始めた。「割安株投資の父」ベンジャミン・グレアム氏に感化されて投資家の道を志す。1965年に繊維会社だったバークシャー・ハザウェイの経営権を握り、同社を母体に投資や事業投資を展開して財を築いた。優良銘柄を本質的価値より低い価格で買う投資スタイルで知られ、「オマハの賢人」との異名を持つ。大富豪ながら質素な生活で知られ、コーラとハンバーガーを好む。