改元控え、皇居周辺は警戒強まる 国交省は飛行自粛要請
新時代の幕開けとなる令和への改元が目前に迫った。約200年ぶりに天皇陛下の退位を迎える宮内庁は重要儀式の段取りを入念に確認した。交通など暮らしに関わる分野を扱う役所は改元に伴うシステム改修などで混乱しないよう準備に万全を期し、皇居周辺では不審物がないか警視庁の一斉捜索が行われた。
宮内庁では25~26日、侍従や職員らが儀式の舞台となる宮殿「松の間」に集まり「習礼(しゅらい)」と呼ばれる予行練習をした。25日には皇太子ご夫妻も参加し、立ち位置や所作などを念入りに確認された。
30日夕の「退位礼正殿の儀」は憲政史上初めてで、国事行為になった。5月1日の「剣璽等承継の儀」「即位後朝見の儀」も約30年ぶりで、前回を知る職員も少ない。それぞれ10分程度の短い行事だが、儀式を担当する同庁式部職幹部は「全国にテレビ中継され、歴史に残る場面になる。絶対に間違えられない」と気を引き締める。
皇室の活動を細かに掲載する宮内庁のホームページは5月1日午前0時、現在の「天皇陛下」の表記が「上皇陛下」、「皇太子殿下」の表記が「天皇陛下」に切り替わる。担当者は「タイマーによる更新作業は万一のトラブルが懸念されるので、担当職員を配置して1日を迎えたい」と語る。
国土交通省は、改元によるシステム改修で不具合が起きないよう、鉄道や航空、湾岸などの民間事業者に確認の徹底を求めた。代替わりに伴う儀式がある30日と5月1日、一般参賀がある5月4日に東京都心の皇居周辺を航空機が飛行しないよう求める航空情報(ノータム)も出した。
国交省によると、要人に不測の事態がないようにするためで、警察、消防による警戒、緊急出動、報道機関の緊急取材などは除き、時間帯は午前8時台から夕方ごろまでとしている。
警視庁は29日、機動隊や警備犬を動員し皇居のお堀や広場に爆発物などの不審物がないか一斉捜索した。皇居では30日から5月1日にかけて一連の儀式が行われ、4日には一般参賀も予定されている。
天皇陛下が退位される30日と皇太子さまが新天皇に即位する5月1日には、皇居の周辺に多くの人が詰め掛けると予想されている。雑踏事故を防止するため、30日午後6時から1日午前5時に皇居前広場を立ち入り制限する。4日の一般参賀でも警視庁は数千人規模で周辺を警戒する。
一方、厚生労働省は連休中に診療を行う病院や診療所のリストをとりまとめ、同省のホームページを通じて確認できる。
文部科学省は全国の教育委員会などに通知を出し、天皇陛下の退位と皇太子さまの即位について児童生徒に教えるよう求めている。通知は「国民がこぞって祝意を表する意義」も含めて「児童生徒に理解させるようにすることが適当だ」と指摘している。