日本酒造り、20代だけで 同世代にアピール
茨城県古河市の日本酒蔵元「青木酒造」が、20代の若手だけで造った純米吟醸「三代目 二才の醸」を売り出した。専務の青木知佐さん(29)とスタッフとして加わった学生らが田植えから仕込み、瓶詰めまで手掛け、やや甘口で華やかな味わいに仕上げた。青木さんは「若い世代が日本酒を知るきっかけになってくれれば」と願う。
「二才の醸」は、埼玉県幸手市の石井酒造が2014年に20代だけで造る酒として醸造した。担当者が30代になって新潟市の宝山酒造が引き継ぎ、その次を、青木酒造が3代目として受け継いだ。
青木さんは大学卒業後、さいたま市内の病院で看護師として勤務。13年に父で蔵元7代目、滋延さん(63)の勧めで家業を手伝うことを決め、地元に戻った。現在は営業や経理のほか、仕込みの手伝いまで幅広く担当している。
17年に「二才の醸」を引き受けたが、社内には他に20代がおらず、酒米を栽培している農家の紹介を受け、筑波大の学生4人にスタッフとして加わってもらった。
県産の素材にこだわり、米は県産ブランドの「ふくまる」、酵母も県産を使用した。田植えから始め、昨年秋の仕込みにはフェイスブックで公募した約40人が集まった。
スタッフとして参加した内田麟太郎さん(21)は「もともと関心はあったけど、日本酒を一から造る貴重な経験ができて良かった」と語る。
4月上旬に東京都内のイベントでお披露目となった「二才の醸」は売り上げも好調。青木さんは「まだ、日本酒を飲まずおいしさを知らない同世代は多いはず。イベントなどで日本酒の魅力を伝えたい」と話す。
〔共同〕