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ドイツ・コメルツ銀、統合破談 労組の反発強く

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【ベルリン=石川潤】独大手のドイツ銀行とコメルツ銀行は25日、3月から続けてきた統合交渉を打ち切ると発表した。両行は政府の後押しを受けて交渉を進めてきたが、大規模なリストラが避けられないとして労組などが反発。株主や監督官庁からも効果を疑問視する声が出ていた。両行は今後独自の生き残り策を探るが、収益環境が厳しさを増すなか、経営再建のハードルは高い。

ドイツ銀行のゼービング最高経営責任者(CEO)は「この案件は十分な利益をもたらさないという結論に達した」と語った。主力の投資銀行業務が不振で低収益に苦しむドイツ銀行は、資金洗浄疑惑などが相次いで浮上したこともあり、経営への先行き不透明感が強まっている。ドイツには強い金融部門が必要との政府の意向もあり、同じ独大手のコメルツ銀との統合を探ってきたが、収益回復の絵を最後まで描ききれなかった。

統合断念の背景には労組の反対がある。両行の従業員は合計で約14万人、ドイツ国内でも約8万人に達する。労組は3万人程度のリストラが避けられないとみて、対決姿勢を強めていた。

リストラは本来、収益拡大の源泉だが、労組の反発が強いまま統合に踏み切れば、人員削減に必要なコストが大きく膨らむ可能性が高い。統合自体がスムーズに進まなくなる恐れもあり、本当に統合が収益増につながるのか、株主や欧州中央銀行(ECB)などの監督官庁も明確な青写真を示すように求めていた。

統合交渉の打ち切りを受けて、ドイツ銀は資産運用部門の他行との統合や、投資銀行部門の一段の整理などで経営の立て直しを急ぐとみられる。資産運用部門の統合相手としてはUBSが有力視され、実現すれば欧州最大の運用会社、仏アムンディに匹敵する規模になる。独保険最大手のアリアンツなどもドイツ銀の資産運用部門の買収に関心を示している。

一方で、かつての稼ぎ頭だった投資銀行部門は市場での存在感が低下し、収益が大きく揺れ動く原因になっている。米国などを中心に、不採算部門を縮小して銀行が抱えるリスクを抑えることが課題になる。

ドイツ国内の中小企業取引に強みを持つコメルツ銀行に対しては、イタリアのウニクレディトやオランダのINGグループが買収に意欲を示しており、争奪戦に発展する可能性が高い。銀行過剰(オーバーバンキング)が指摘される欧州の銀行再編が一気に勢いづく展開もあり得る。

統合交渉破談の発表が金融市場に伝わると、ドイツ銀の株価は7.6ユーロ程度から7.9ユーロ台まで上昇し、コメルツ銀は下落した。効果が不透明な統合を避けられたことが好感されたとみられるが、その後はドイツ銀の株価も下落に転じるなど、不安定な値動きとなった。

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