NEC、ネットワーク構築を迅速に サブスク活用も
NECは24日、企業や自治体向けに5Gなどの通信技術を組み込んだネットワークの構築・運用サービスを始めると発表した。複数の通信技術を組み合わせた自営網を従来の6分の1の期間で構築し、運用を代行する。一部サービスにはサブスクリプション(継続課金、サブスク)型の課金も取り入れる。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及などで多様化する企業のネット構築ニーズに、柔軟性を高めたサービスで応える。
新サービス「NECスマートコネクティビティー」を立ち上げた。工場のIoT活用、人工知能(AI)やビッグデータの活用といった主な用途に適応するサービスメニューを用意。これらのメニューを組み合わせて短期間でネットワーク構築するカスタムメード型のサービスと位置づける。
佐藤崇デジタルサービスソリューション事業部長は「企業の要望にきめ細かく応える」と意気込む。22年3月期に1000億円の売り上げを目指す。
工場を例に取ると、品質検査などで動画や画像といった大容量データをやり取りするときは次世代高速通信「5G」、IoTの通信向けのメニューでは省電力の「LPWA(ローパワー・ワイドエリア)」といった具合に、用途ごとに通信技術を使い分けるメニューを用意している。この仕組みにより、従来であれば要望のヒアリングと設計などの準備作業のために3カ月程度かかる案件でも、機器の調達に必要な期間を含めて2週間程度で構築できるという。
従来のサービスはオーダーメード型で、顧客企業から1つずつ要望を聞き出し、ゼロから設計していた。大規模な案件になると要望を聞き出して設計を終えるまでに数カ月かかることが多く、早期に利用したい企業は使いにくかった。
新サービスではサブスク型の課金体系も取り入れ、月額課金でネットワークの構築・運用サービスを提供する。初期費用を抑えて通信網を稼働させたい企業や、建設現場などネットワークを短期間だけ運用したい企業に向く。従来のオーダーメード型のサービスでは顧客ごとに個別にネットワークを設計し、顧客用の機器を調達してから。結果と初期費用が高額になりやすかった。
NECはこれまで通信事業者向けのネットワーク構築では強みを持つ一方、企業や自治体向けのネット構築・運用サービス事業は売上高250億円とやや小規模だった。18年1月に策定した中期計画で、通信事業者向けで培ったネットワーク構築・運用のノウハウをほかの領域に展開すると宣言、今回のスマートコネクティビティーで本格参入すべく、社内で500人の体制を整備した。
(島津忠承)