ストライカーで勝負 点取り屋として存在示す
今年から鹿島のキャプテンになったウッチー(内田篤人)の言動に報道などを通して触れると、彼の変化を感じる。以前なら心情を行動や言葉で表現するタイプじゃなかった。強豪クラブのキャプテンとなった今は、その責任を果たそうという覚悟みたいなものが伝わってくる。
お互い30代になったのだから、当然の変化なのかもしれないが、無理をしているんじゃないかと思うこともなくはない。それがウッチーにとっての挑戦なんだろうとも思う。鹿島復帰を決意したのは、リーダーとしてのチャレンジも含まれていたのだろう。
常に新たな挑戦をし続けたいという欲がある。それをエネルギーに僕らは成長してきた。だから、その挑戦が困難であればあるほど、力がわき出てくるんだろうと思う。
4月16日で33歳になった。
30歳の誕生日は、プレミアリーグ優勝に向けた騒ぎの渦中にいた。レスターへ移籍した最初のシーズン。試合に出るために選んだのが、チームの攻守をつなぐ仕事だった。人生初めてのリーグタイトルという結果は自信になった。しかし、ある種の達成感はあったけれど、満足感は思った以上に大きくはなかった。
FWでありながら、MFのように攻守にわたって仕事をする。それが岡崎慎司の強みだと評価してもらえたが、自分では危ういことと考えていた。ストライカーが数字で示せる結果は得点だけで、最終的にはゴール数が優劣を分ける。その現実を踏まえると、まだまだ足りなかった。
献身的な今の仕事を続けながら、点が取れるストライカーにもなることが、僕の新たな挑戦になった。しかし、チーム内での評価を変えるほどの結果は残せなかった。レスターでの僕の扱いはきっとストライカーではない。2列目のMFとして見られているように感じる。けれど、巧みな技術を持つ本職のMFの高い能力に触れると、僕はMFではないと改めて感じる。
だから、レスターを離れようと決めた。ストライカーとして勝負できる場所で来季は挑戦したいと強く考えたからだ。
今季は出場機会もわずか。うずうずした熱は高まっているが、移籍先は「試合出場」ではなく、「ストライカーで勝負できるか」を基準に選ぶつもりだ。それも「できるだろう」ではなく、「きっと無理だろう」と思われる場所で勝負するほうが面白いと。
過去の実績は関係なく、長く試合から遠ざかっていることを考えれば、プライドもない。33歳でこんな心境なのはどうかと思うけれど、今はまたゼロからのスタートだ。
ベテランと呼ばれる年齢であることは自覚しているが、それを意識することはない。チームでリーダーシップを発揮すること以前に、僕は点取り屋としての存在を示したいと思っている。
(レスター所属)