「日本のAI戦略、官民学で推進を」アイサムで議論
学術情報分析センターの安西祐一郎所長らは23日、人工知能(AI)の活用をテーマに日本経済新聞社が主催するグローバルイベント「アイサム(AI/SUM)」のパネルディスカッションに参加した。安西氏は「日本のAI戦略を協力し合って進めることが重要だ」と述べた。日本がAI分野で存在感を示すには、官民学での連携が急務になっている。
パネルディスカッションではAI人材の育成などをテーマに議論した。ソニーコンピュータサイエンス研究所の北野宏明社長は「専門的な人材はもちろんだが、AIを使いこなして社会に応用できる人材が重要だ」と語った。安西氏は文系や理系の枠を超えた基礎教育の重要性を強調した。
議論は技術開発の方向性にも及んだ。北野氏は「破壊的なイノベーションは注目されていない分野から生まれる」と指摘したうえで、革新を促す安定的な資金供給の仕組みが必要だと述べた。慶応義塾大学の神成淳司教授は「研究成果の社会的な価値は制度の改革とともに議論するのが本来のあり方だ」と話した。
AIを巡る倫理面の課題も論点になった。開発を巡っては以前から公平性や説明責任の必要性が議論されてきた。一方、社会でのAI活用についても政府が2018年に7原則案をまとめた。北野氏は「日本は信頼されるAIを推進すべきだ」と訴えた。
アイサムはAI活用の取り組みを紹介する国際イベントで、24日まで開催する。23日は「新時代の日本のAI戦略」などをテーマにパネルディスカッションや講演を実施した。
(清水孝輔)