金正恩氏、プーチン氏と25日に会談へ 合意文書は予定せず
【ウラジオストク=恩地洋介】ロシアのウシャコフ大統領補佐官は23日、プーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の初会談を極東ウラジオストクで25日に開くと発表した。「朝鮮半島の核問題の政治・外交的解決」が主要議題となる。共同声明や合意文書への署名は予定していないという。金正恩氏は24日夕に特別列車でウラジオストク入りする。
首脳会談は25日午後に開かれる。一対一の会談に続き、代表団を交えた拡大会合を予定している。ウシャコフ氏は記者団に「ロシアは北朝鮮の非核化をできるだけ支援する」と語った。2012年にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれたルースキー島の極東連邦大学が会談の会場となる。
金正恩氏は23日中に平壌を出発したとみられる。平壌とウラジオストクの直線距離は約700キロだが、北朝鮮内の鉄道施設の老朽化や越境時の車両交換のため相当な時間を要する。北朝鮮最高指導者のロシア訪問は約8年ぶりとなる。
2月末にハノイで開いた2回目の米朝首脳会談が物別れに終わり、金正恩氏は米国の譲歩を引き出すための外交工作に躍起となっている。プーチン氏との関係強化には、北朝鮮の立場に理解を示す数少ない大国であるロシアから対朝制裁の緩和に向けた一層の協力を引き出す狙いがある。
23日にはウラジオストク空港に北朝鮮の高麗航空の臨時便が到着し、金正恩氏の専用車や警護要員を降ろした。韓国メディアによると、金正恩氏の妹の与正(ヨジョン)氏や側近のキム・チャンソン国務委員会部長はすでに現地入りしており、儀典や警備の調整を進めている。
北朝鮮はロシアに数万人の労働者を派遣しており、貴重な外貨収入を得てきた。17年に国連安全保障理事会が決議した制裁で、労働者は19年末までに北朝鮮に送還されることになっている。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。