三井不動産が「演劇テック」、AIで来場者の物語作成
三井不動産は2019年4月22日、人工知能(AI)を使ってオリジナルの演劇用シナリオを作成するプロジェクトを発表した。音声や表情、虹彩といった来場者の生体情報を使ってシナリオや台本の表紙をアレンジし、来場者ごとの台本を作る。「来場者がAIを介して登場人物として脚本に参加できるようにした。新しい体験を提供できる」(三井不動産東京ミッドタウン日比谷事業室の豊蔵英介室長)
ウェブ制作やデジタルクリエーションなどを手掛けるイメージソース(東京・渋谷)が来場者のデータを使って、台本を作成するシステムを開発した。NECが虹彩認証技術を提供する。「(目の瞳孔周囲にある)虹彩の輝度を4パターンに分けて認識」(NECの友岡由輝クリエイティブマネージャー)し、結果のデータを基に台本表紙に模様を描く。
会見ではデモンストレーションも披露した。台本作成の機材はタブレット端末、顔の表情を撮影するカメラ(タブレット端末上部)、虹彩を撮影するカメラ(タブレット端末の左側)、マイク、ICタグ、タグリーダーである。
来場者はタブレット端末を使って性別や年齢、ニックネームなどを入力し、カメラとマイクに向かって台本のセリフを1つ読み上げる。続いて別端末のカメラを用いて虹彩を撮影。最後にICタグを利用し、台本の印刷物を印刷する。台本作成の際、カメラやマイクから読み取った来場者の感情なども台本の文章に反映する。
三井不動産は観劇をテーマにしたイベント「Hibiya Festival」を19年4月26日~5月19日に開催する。同イベントのコンテンツとして、この「演劇台本作成 A.I.」を東京ミッドタウン日比谷の「BASE Q」で19年5月1~6日に披露する計画だ。
(日経 xTECH/日経コンピュータ 野々村洸)
[日経 xTECH 2019年4月22日掲載]